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システム開発の「不都合な真実」を乗り越えよ ITジャーナリスト 田中克己氏

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成果報酬型の契約に変えると「早く作る」意識高まる

――「ほかの選択肢」というのは、どのようなものか。

 まだ一般的な選択肢とは言いがたいが、まず契約形態を成果報酬型にしてITベンダーに依頼する方法を考えてみてはどうか。契約形態を変えるだけで、「遅い」「高い」という課題がうまい具合に解決され得るから面白い。

 成果報酬型のシステム開発というのは少し特殊な契約形態で、顧客とITベンダーが共同事業をする形でシステムを開発・運用する。金融業界向けのサービスや大手流通企業のECサイトの構築などで様々な事例がある。

 例えばECサイトを構築する場合だと、ITベンダーがその開発費用を全部負担する。ハードウエアはITベンダーのクラウドサービスを利用して、その料金もITベンダーが負担する。ECサイトを構築した時点では、ITベンダーは顧客からお金を受け取らない。

 その代わり、そのECサイトの売上高がいくらだったか、ECサイトを利用した人や登録会員が何人になったかなど、ECサイトから得られた収入や定量的な成果に応じて、顧客がITベンダーに収入を分配する仕組みになっている。

 成果報酬型のシステム開発の良いところは、前述したように契約形態を変えるだけで「遅い」「高い」という課題を解決し得ることだ。別の言い方をすると、効果の高いものを「早く作ること」に対するITベンダーの担当者のモチベーションが高くなる。

顧客のライバルと競争するから「なおさら早くなる」

 どういうことかというと、システムを作っている間、ITベンダーは無収入なので、長い時間をかけていられないのだ。

――なるほど、早くシステムを作って、早くサービスや事業を始めないとITベンダーが儲からないわけだ。

 これはITベンダーにとって大きなインセンティブになる。顧客側だって早く売り上げが立てばうれしい。ウィン-ウィンの関係になる。

 もう1つ、「早く作る」ことに躍起になる理由がある。それは顧客のライバル企業との競争である。例えばECサイトで、ライバル企業が始めた新サービスを顧客自身も提供したいと考えたとき、新サービスのシステム開発が遅れれば、競争に負けてECサイトの売り上げが下がってしまう。ITベンダーの売り上げも減ってしまうわけだから、大変だ。だから「競争に勝つサービスを早く作ろう」と創意工夫する。

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