不祥事は、誰が起こすのか

不祥事の兆候や原因をデータであぶり出す 植村修一氏

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 これまで不祥事については、統計的な管理や分析が難しい事象であるとの認識が一般的でしたが、情報化とそれを支えるシステムが発達した今日、ビッグデータ時代にふさわしい新たな体制構築が可能となりつつあります。川合助教授と中林准教授の研究には目が開かれる思いがしました。

 最近、政府や自治体が保有する「公共データ」をインターネット上開放して、民間のビジネスにも活用しようという動きが広がりつつあります(代表例は、福井県鯖江市による「データシティ鯖江」とこれを基にしたアプリ開発)。ビジネスの観点だけからではなく、行政の透明性や信頼の確保のためにもデータが公開され、活用されることが求められます。

ベイズで不祥事がわかる

 インターネットを通じたデータの集積や利用がビッグデータ時代の到来を告げるものであるとするならば、コンピュータの発達そのものが生み出したものが、ベイジアンモデルの活用です。ベイジアンモデルとは、18世紀のイギリスの神学者かつ論理学者であるトーマス・ベイズが発見した「ベイズの定理」を応用したもので、この定理は、何も情報がない段階での「事前確率」が、その後得られた情報を基にした「条件付き確率」という仮定によって、「事後確率」に変化していく様を示すものです。条件が増えれば増えるほど計算は複雑になり、計算を容易にする手段の登場が待たれたわけです。

 ベイズの定理は、そもそも彼の死後にその書類から発見されたもので、19世紀に疑義が出されたこともあり、長い間日の目を見ませんでした。しかし、20世紀半ば以降、アメリカの統計学者が、なかなか解き明かせない現実の問題にこれを応用し、実績をあげるようになって、徐々に脚光を浴びることになりました。コンピュータによる計算の高速化がこれに拍車をかけたのは言うまでもありません。

 さらに、マルコフ連鎖との融合が、ベイジアンモデルの可能性を一気に広げました。マルコフ連鎖とは、物事の状態変化(遷移と呼びます)を考慮して、将来を予測するというモデルで、これを組み込むことにより、複雑な条件のもとでも、仮定を単純化して事後確率を導出することができます。

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