不祥事は、誰が起こすのか

権威勾配が急すぎると、粉飾そして破綻という大事故につながる 植村修一氏

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 航空業界でよく用いられる用語として、権威勾配というものがあります。運航に強い権限を持つ機長が、副操縦士や客室乗務員、整備士などの意見を聞かない結果、事故やトラブルにつながることのないよう、クルー内の適度な上下関係を求める概念ですが、一般にも当てはまります。トップとトップ以外との権威勾配が急すぎると、粉飾そして破綻という、大事故が発生します。

 上場は、ベンチャー企業に投資する側にとっては、投下資金を回収する「出口」になります。しかし、企業や経営者にとっては、上場は事業継続の第一歩、入り口に当たります。上場は手段であって、目的ではありません。この点を取り違えると、不祥事への道の第一歩になります。

 なお、最近あった事件のうち、マンツーマン方式による授業や映像講座等を営むリソー教育において、不適切な売上計上があったとされる問題では、第三者委員会が、「黒字決算等を目的とした経営トップ主導による粉飾決算とは異なり、現場の管理者が中心となって、それぞれの担当部署の売上目標を達成するため部下社員に指示して売上の前倒し計上等の方法を使って敢行した」点に特徴があると述べています。背景として、営業成績至上主義の人事制度のもとで、目標(ノルマ)を達成することが社員らの至上命題となり、そのためには売上の不適正計上もやむなしとの風土であったことが記されています。

 もっとも、「リソー教育及びそのグループ会社は、A会長が強いリーダーシップを発揮して成長を遂げてきた会社であり、そのために、グループ会社の各取締役は、A会長とその部下という関係以上のものは認め難い状況にある。その結果、各取締役による健全な企業統治が行われず、A会長の意向や指示を最大限に尊重し、死守しようとする風潮が生まれ、ついには無理を重ねて不適切な会計処理を繰り返すに至った」とされています。やはり、権威勾配が急すぎたと言わざるを得ないようです。

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