不祥事は、誰が起こすのか

権威勾配が急すぎると、粉飾そして破綻という大事故につながる 植村修一氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

なぜ粉飾するのか

 エンロン、ワールドコム、山一證券、カネボウ、ライブドア、オリンパス等々、粉飾決算で会社が苦境に陥ったり、存続が困難になった事例は、古今東西、枚挙にいとまがありません。新興企業の場合、とくに、利益や純資産のかさ上げを狙った、架空取引による売上げ計上が目立ち、最近では、証券取引等監視委員会から、名証セントレックス上場の太陽商会(デジタルコンテンツの制作、コンサルティング)に対する課徴金納付命令を出すよう、金融庁への勧告が行われるとともに、以前ジャスダックに上場していたインデックス(ゲームコンテンツの制作会社)の元役員が東京地検特捜部により起訴されるとの報道(2014年6月17日、日本経済新聞)がされました。

 新興企業の経営者にとって、上場することは、まさに夢の実現です。上場の際の株式新規発行による資金調達とそれをもとにした新たな投資、株式売出しによる創業者利潤の獲得、知名度向上がもたらす新規顧客の開拓や人材確保面での有利さ、上場のスクリーニングを通ったことによる金融機関からの信頼度向上等々......上場は魔法の杖のように、それまで困難だったことを一気に解決してくれます。少なくともそのように見えます。

 しかし、現実は、日々の株価に一喜一憂することになり、投資家から評価されるような施策や企業業績を絶えず見せていく必要に迫られます。適宜情報開示も求められます。株主総会も大変です。こうした様々な負担はあるものの、いったん勝ち取った上場企業のステータスを手放したくない、株価上昇という株主の期待に応えたい、そうした思いが「不都合な真実」と向き合うことを回避させます。

 かつて、面識のあった地方のIT関連企業の社長が、上場後の大変さをこぼすのを耳にしたことがあります。当時、地元の経済界では、その企業が期待の星のように言われ、プレッシャーもあったと思います。結局、上場後の業績は伸び悩み、最後は粉飾決算で上場が廃止されたあと、経営破綻しました。

 当時、新興市場銘柄で粉飾決算などの不祥事が相次いだことから、上場に向けての会計監査人によるチェックや指導が強化されました。ちなみに、マザーズの上場審査基準では、適格要件として、企業内容・リスク情報等の開示の適切性、企業経営の健全性、企業のコーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性などが求められています。新興企業では、とくに創業者によるトップダウンの意思決定が行われやすいだけに、それが粉飾という誤った判断に至らないよう、経営者の強い自覚と、内外でのチェックに万全を尽くす姿勢が求められます。

関連情報

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。