不祥事は、誰が起こすのか

歴史に学ぶ――なぜ不祥事は起こるのか 植村修一氏

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ブラックボックスは不正のもと

 金粉で写経したとされている平安時代後期の経典に、実は真鍮(しんちゅう)が大量に使われていることが、奈良大学の分析でわかりました(2014年4月22日、日本経済新聞)。「製作者が施主に無断で金の代わりに使い、費用を浮かせたのでは」(調査した同大学教授)とのこと。ほかにも同時代や江戸時代の金字経で真鍮しか検出されないものがあり、にわかに金字経の信頼性が問われ始めています。

 今回のことは、学問的観点からは、江戸時代に普及したとされる真鍮がかなり以前から使われていたことを示す点で重要な意味があるそうなのですが、その時点で判明していれば、世間的に不祥事として取り扱われたことでしょう。一度真実がわかれば、その後施主たちは厳しくチェックしていくでしょうから、分析技術が発達していない中で受け継がれた、ひそかな不正行為と言えます。

 後に平成の世で耐震強度偽装事件というものがありました。元一級建築士が設計したマンションやホテルの耐震構造計算書に改ざんがあったことが発覚し(2005年11月)、建築基準法違反などの罪に問われました。この行為により、マンションやホテルが建て替えを余儀なくされ、大きな社会問題となりました。

 偽装の動機は、低いコストですむ設計士との評判が多くの依頼を生み、収入が増えるとの純粋に経済的なものとされましたが、偽装を可能にしたのが、耐震構造計算に必須のコンピュータプログラムという、外部からは容易にわかりにくいブラックボックスの存在でした。その後、建築基準法が改正され、改ざん防止機能のついたプログラムが求められることになりましたが、その間、建築確認の遅れが心配されました。

 金字経の金粉といい、耐震構造計算のプログラムといい、傍目にはわからないブラックボックスは不正に利用されやすいという点で、人間の行いが変わらないことを示しています。

組織にとってのレーダーとは

 第二次世界大戦中に開発が進み、その後の人類の行動や生活に大きな影響を与えたもののひとつにレーダーがあります。今日、航空機や船舶の運航に欠かせないだけでなく、レーダーが捉える雨雲の画像が、今の気象をわれわれにリアルに伝えてくれます。

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