女性が活躍する会社

女性活躍推進の効果を最大化するには 大久保幸夫、石原直子氏

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レジリエンスとしての女性幹部

 欧州の年金などの機関投資家においては、社会的責任投資(SRI)が拡大していますが、そこでは取締役会のダイバーシティは、コーポレートガバナンスの重要な要素と位置づけられています。

 前述した、マッキンゼーによる「WOMAN MATTER 2」(2008年)によれば、国や事業内容をコントロールしても、労働環境、リーダーシップ、アカウンタビリティ、モチベーション、イノベーションなどの組織の健全性を測ると、女性を幹部に登用している会社の方がすべてにおいて良い結果であったとしています。

 役員会のボードメンバーはもちろん、事業部経営の部課長のボードにおいても、女性が適切な割合で含まれているかどうかは、企業の持続的成長を占う意味で重要なのです。

 「内部昇進型×男性」だけで構成されたボードでは、危機に対して特有の弱さがあります。長年の文脈を共有していることや、上の評価を過剰に気にすることから、NOと言えない空気が漂っています。女性が、正論をあえて言うことや、違った角度から問題を指摘することで、健全性を担保できるのではないでしょうか。社外取締役の導入が進められている背景もまったく同じでしょう。

 女性管理職の登用が一定比率まで進んできた会社であれば、部課長会議も変化が見えてきているはずです。男性ばかりのときには出ていなかった種類の発言や議論が起こっていると思います。

 日本政府では国土強靭化という意味で、レジリエンス(resilience)という言葉を使っています。もともとは心理学用語で「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」などを意味するのですが、さまざまな環境変化や困難に直面した時に、単一の価値観や視点しか持っていない企業は弱いものです。経営幹部の多様性を高めることで、企業組織としての強さ=レジリエンスを獲得することは、ガバナンス上不可欠の対策と言えそうです。

大久保幸夫、石原直子 著 『女性が活躍する会社』(日本経済新聞出版社、2014年)第6章「女性活躍推進は女性のためにあらず」から
大久保 幸夫(おおくぼ ゆきお)
リクルートホールディングス専門役員、リクルートワークス研究所所長。1983年一橋大学経済学部卒業。同年、リクルート入社。人材総合サービス事業部企画室長、地域活性事業部長などを経て、1999年人と組織の研究機関であるリクルートワークス研究所を立ち上げ、所長に就任。2010年から2012年まで内閣府参与を兼任。2011年より専門役員就任。2012年より人材サービス産業協議会理事を兼任。専門は人材マネジメント、労働政策、キャリア論。

石原 直子(いしはら なおこ)
リクルートワークス研究所主任研究員。都市銀行、人事コンサルティングファームを経て2001年よりリクルートワークス研究所に参加。一貫して人材マネジメント領域の研究に従事し、近年はタレントマネジメントの視点から、次世代リーダー、女性リーダー等の研究を進めている。2013年発表の「提案 女性リーダーをめぐる日本企業の宿題」作成にあたってプロジェクトリーダーを務めた。2014年度、独立行政法人経済産業研究所の「ダイバーシティと経済成長・企業業績研究プロジェクト」委員。

キーワード:経営、管理職、企画、人事、人材、経営層

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