「論語と算盤」と現代の経営

『論語と算盤』は私の経営方針に合った理想とするものだった 守屋淳氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 これはどの銀行もやっている、利益を上げるための最低限の正当な技術です。しかしここで重要なのは、更なる利益追求のために余資運用を、リスクがあるものでやる――例えばハイリスクハイリターンのものを買って、といったことは、うちは一切やっていません。信用金庫は、そこまでやってはだめなんです。例えば今期は昨年に比べて5億円利益が少ないから、その5億円分は余資運用を利用してリスクのある利回りの高いものを買いましょう、とやったとします。しかし暴落したりして、結局はそんなに儲からず、赤字になってしまったりします。

 汗水流さないで、利益を出して儲かりましたといった論法や手法はうちは取りません。「身の丈に合った経営」を大切に考えています。それは、うちの信用金庫で経営者になった人間に代々伝わっている1つの伝統かもしれません。

 逆にいえば、正しい方法で利益を上げるならば、営利は必然という『論語』の世界によく通じている考え方だろうと思っています。

守屋 お話をうかがっていますと、地元のお役に立っていく中から自然に上がってくる利益をきちんと確保していれば、信用金庫としての使命は果たせる。また、その機軸から離れない限り、そんなにおかしなことにはならないということかなと思います。けれども、なぜかおかしくなるようなところがどんどん出ている――。

平松 その何かおかしなことが出るのは、きっと経営者が理念を間違えているからなのだと思います。

守屋淳 編著 渋沢栄一記念財団 監修『「論語と算盤」と現代の経営』(日本経済新聞出版社、2014年)3「金融の未来をどう作っていくのか」から
守屋 淳(もりや あつし)
作家、中国古典研究家。1965年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大手書店勤務を経て、現在は中国古典、主に『孫子』『論語』『老子』『荘子』『三国志』などの知恵を現代にどのように活かすかをテーマとした執筆や企業での研修・講演を行う。主な著書・訳書に『現代語訳 論語と算盤』(ちくま新書)、『ビジネス教養としての「論語」入門』(日本経済新聞出版社)など。

キーワード:経営、企画、人事、経営層、人材、研修、働き方改革、経理、グローバル化、ESG

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。