「論語と算盤」と現代の経営

『論語と算盤』は私の経営方針に合った理想とするものだった 守屋淳氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 渋沢栄一は「金持ちが悪い」ということは言っていません。「その儲け方と使い方に正しい道があればいい」と言っています。そこさえ押さえておけば、企業経営にあまり間違いはありません。『論語と算盤』を読んで、そういう意識を持っているトップと、何も考えないトップとは差が出てきます。恐らく『論語』を承知して謙虚に社会還元のことを頭の隅に置きながら経営をしている方が、経営において大きな間違いを起こす確率は少ないと思います。それが私の信念です。

 私は『論語』の中に、好きな言葉が2つあります。1つは、

君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る

 これは、学徳ともに優れた君子は、道理にかなった正しいことに敏感であり、学徳のない器小なる小人は、利益に敏感であるいう意味です。要するに、利益一辺倒になっているような人は経営者としても人間としても小さいよ、と解釈しています。大きな権限を有する経営者が抑止力を考えるときに一番いい教えだと私は思います。

 もう1つは、

賢(けん)を見てはひとしからんことを思い、不賢を見ては内に自ら省みる

 これは、優れた人物を見たら自分もその人と同じようにありたいと思い、劣った人を見たら自分にもその人と同じようなところはないか反省してみることだという意味です。こちらは精神の持ち方です。「ずいぶん困った人がいるな」と思っても、実は自分もそうなんじゃないのかと思うことが経営者にとっては大事だと思います。

 ここにもやはり謙虚さがあって、この2つは私が経営していく上で一番大事にしているところです。なぜかといえば、謙虚さがあるのは人間だけだからです。その他の動物にはありません。

 多くの社員に働いてもらっているという思いから言えば、こういう気持ちが絶対に経営者には大切だと思います。それが私の信念でもあり、『論語と算盤』と渋沢栄一さんが好きな理由です。

守屋 ずいぶん熱心にご研究されていて、凄いですね。平松さんは、明治財界の大立者であった岩崎弥太郎(三菱財閥創始者)や大倉喜八郎(オークラ財閥創始者)、安田善次郎(安田財閥創始者)との対比から、渋沢栄一について考えたことがあるそうですが、それについても教えて頂いてよいでしょうか。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。