「論語と算盤」と現代の経営

金融が経済、社会の主役になろうとしてはいけない 守屋淳氏

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守屋 今までの銀行員の方のイメージといいますと、なるべくミスをしない減点主義に象徴されるものでした。変革への対応力というのは、そのイメージが随分変わるものだと思うのですが、昔ながらの銀行の文化を変えていく取り組みは何かなされているのでしょうか。

塚本 こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、銀行員が毎日帳簿をつけているというのは、これはもう大昔の話。私が銀行に入った頃も、それはもう過去の歴史的な話になっていましたし、入ってからも、大きく変わっています。銀行の教育にしろ、日々の仕事にしろ、お客様からのリクワイヤメント(要望)にしろ、新しいものをどんどん取り入れないと、やっていけません。

 一方、銀行というのは大量の事務を扱っている組織でもあり、同じようなことを繰り返す、きちっと正確にやるという部分もたくさんあります。しかし、そうした領域においても、いかに改善していこうか。新しいシステムを入れていこうか、省力化していこうか、時間外が減らせるか――こういう観点から日々、仕事をやっている本人たちみなに考えてもらうような仕組みもいっぱい持っています。ですから、「昨日と同じことを明日やろうと思ってはいけない」というのは徹底しています。

 これは別に銀行だけではありません。今、恐らくほとんどの企業はそういうことをテーゼとして社内のカルチャーの改革に努めています。われわれ自身もまさにそうなんです。それに例えばグローバルというような要素も加わってきますし、現実に規制もどんどん変わります。規制が変わると、われわれのやる業務範囲の問題も出てきて、実際に事務処理自体も変わってくるという部分もあります。

 『論語と算盤』の示す価値観は不変のものでありますが、その上でわれわれが日々行う仕事というのは、同じことをしっかり守ってやっていればいいということではなくなっているのです。

守屋淳 編著 渋沢栄一記念財団 監修『「論語と算盤」と現代の経営』(日本経済新聞出版社、2014年)3「金融の未来をどう作っていくのか」から
守屋 淳(もりや あつし)
作家、中国古典研究家。1965年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大手書店勤務を経て、現在は中国古典、主に『孫子』『論語』『老子』『荘子』『三国志』などの知恵を現代にどのように活かすかをテーマとした執筆や企業での研修・講演を行う。主な著書・訳書に『現代語訳 論語と算盤』(ちくま新書)、『ビジネス教養としての「論語」入門』(日本経済新聞出版社)など。

キーワード:経営、企画、人事、経営層、人材、研修、働き方改革、経理、グローバル化、ESG

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