「論語と算盤」と現代の経営

社会貢献になる義を思い切ってやる勇を持つ 守屋淳氏

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利は金銭だけではない

守屋 義、つまり社会貢献という話題が出ましたので、ここで渋沢栄一の話に入りたいと思います。渋沢栄一はモットーとして「論語と算盤」、あとこれは三島中洲(ちゅうしゅう)という方が唱えたモットーですが「義利合一」、要するに義というものと利というものを両立させましょうと唱えています。現代において、当然どの会社も利というものを目指してしのぎを削っているわけです。そういった中で、この義利合一、義と利というものを並び立てる、並んで一緒に実現していくということは、実際に可能なのでしょうか。

岩崎 それが問題なんですよ。社会貢献というのは格好いいし、株主総会の答弁のときは必ず使える言葉です。それと利を結びつける。これは、多分社内で話すときであれば、「利を上げなかったら義を貫けない」と言うでしょう。

 例えば、新しい技術を開発して環境を改善しようとか、何でもいいんですよ。私たちは製造会社ですから、世の中のためになる技術をやりますが、やるためには利を上げなくてはならない。そうすると、どうやって利を上げるかを一方で考えなくてはなりません。これはなかなか大変で、真剣にならざるを得ないんです。研究開発や、その研究開発したものを事業に持っていくことに真剣にならなければ、利益を生む事業を育てることはできません。

 今年も新入社員が入ってきましたけれど、みな研究に憧れています。「私はこういう発明を」と言うのですが、会社ですから趣味でやるわけにはいきません。そういう意味で、利をお金としますと、必ず利益を得るようなことを事業として軌道に乗せ、義を貫こうと思うと、かなり真剣にやらなくてはならないというのが1つです。

 それからもう1つは、利というものはお金だけではないということです。「義を貫くことによって人が育つ」「人のモチベーションが上がって、毎日楽しく仕事をやれる」といったことも利だと考えると、これは『論語』に出てくる仁にも通じてくるのではないかと思います。

 仁を愛のことだとしますと、そこには「人を大切にしよう」という気持ちがあります。「人を大切にする」という風土の中では、そこにいる人は利益を享受できます。利を金銭的な利益だけではないと考えますと、利というものには「やりがい」とか「人が育つ」とか「人が楽しい思いをする」とか「生きがいを持つ」とか、そうしたものも含まれてきます。そう考えますと、ますます真剣にならざるを得ません。義利合一というのは、「かなり真剣にやらなくてはいけない」ということに帰結するような気がしますね。

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