「論語と算盤」と現代の経営

社会貢献になる義を思い切ってやる勇を持つ 守屋淳氏

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 それから、ボランティアではなく給料も払わなくてはならない。配当も出さなくてはならない。税金も納めなくてはならない。そういう中で利を結びつけなくてはならない。義をもって利を結びつける――それをやることに勇を持つ。

 勇というのは、とても難しいですね。仕事をしていて、今まで失敗したことがいっぱいありますが、勇を取り違えた時があります。「蛮勇」とか、「引き返せない」とか。それから「みんながこう言うから、やることが正しいと錯覚する」とか。勇というのは、さきほどの勝兵と敗兵の違いみたいで、まず戦いを起こしてしまうのです。それが勇を取り違える。

 戦わないで、まず勝ってから戦いを始めるには、ものすごく勇気がいります。例えば今、電気自動車だ、太陽電池だということで、みな、「その分野で絶対仕事をやるべきだ」「そうだ、そうだ。マーケットはこんなに大きい。それ行け」と言う。義から言えばそういう分野で何か事業を起こせるのは社会貢献になるから、「それはやるべきだ」となります。こんなときに、やらずに踏みとどまる勇を持つのはまず大変です。

 また、それを勇をもってやるにせよ、何の準備もせず、自分の力もわきまえないで突っ込んでいって、潰れてしまうのでは義にはなりません。もし会社を潰したりしたら、それこそ何人不幸にするか分からないし、取引先にも迷惑をかける。こんな勇はないから、やる以上は勝たなくてはならない。

 そうするとさっきの『孫子』の話、戦う前に勝つために、どのぐらいのことをやるかということになる。けっこう難しいですね。やらないことは批判されるんですよ。本当はやるんです。やるんですけど、踏み出す前に色々なことをやっているときは、かなり批判されます。そうすると、「義を見て為さざるは勇なきなり」の、義ひとつでも非常に大変だし、勇ひとつでも大変。『論語』で、たった1行書いてあることがずいぶんいろんな意味があるなと、後で気がつくことがありますね。

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