「論語と算盤」と現代の経営

社会貢献になる義を思い切ってやる勇を持つ 守屋淳氏

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 「実行」や「信頼」といった現代が直面する難問をもとに、渋沢栄一や「論語」の教えを実践している経営者の方々にインタビューしました。評論家や学者といった立場からの声ではなく、生々しい現場を預かる責任者の声として、きわめて示唆に富んでいると筆者は考えます。混迷の続く時代を照らすヒントとして、本連載を活用して頂ければ幸いです。

 第4回目の今回は、クレハ前社長の岩崎隆夫さんにお話を伺いました。

 なお、本文に登場する人物の年齢や肩書き、数値データなどは原則としてインタビュー当時のものですが、プロフィールは2013年6月現在の情報を表記しています。

『孫子』から『論語』へ

守屋 岩崎社長は、基本的に理系畑を歩んできた、とうかがいました。そんな岩崎さんが、中国古典に興味を持たれたきっかけを教えてください。

<FONTBOLD />岩崎 隆夫(いわさき たかお)</FONTBOLD></p><p> 宮城県出身。東北大学工学部卒業後、呉羽化学工業(のちのクレハ)に入社。英国ブリストル大学留学客員研究員、錦研究所(のちのクレハ総合研究所)合成樹脂・炭素材料研究室長、クレハ・ケミカル・シンガポール社建設プロジェクトマネジャー、米国フォートロン・インダストリーズ社副社長、クレハ錦工場(のちのいわき事業所)第二製造技術部長、企画本部長、取締役、研究開発本部副本部長兼総合研究所所長などを経てクレハ社長に就任。東北大学で工学博士号を取得。2012年8月逝去。

岩崎 隆夫(いわさき たかお)

 宮城県出身。東北大学工学部卒業後、呉羽化学工業(のちのクレハ)に入社。英国ブリストル大学留学客員研究員、錦研究所(のちのクレハ総合研究所)合成樹脂・炭素材料研究室長、クレハ・ケミカル・シンガポール社建設プロジェクトマネジャー、米国フォートロン・インダストリーズ社副社長、クレハ錦工場(のちのいわき事業所)第二製造技術部長、企画本部長、取締役、研究開発本部副本部長兼総合研究所所長などを経てクレハ社長に就任。東北大学で工学博士号を取得。2012年8月逝去。

岩崎 いちばんの転機は、やはり総合企画部長をやれと言われて、「今度、会社の方向を大きく変える」と社長に言われたときです。ずっと理科系で、研究所と現場を往復して、海外のプラント建設とか、そういうことばかりをやってきました。ですから、会社の企画には全く疎かったし、数字もあまり強くありませんでした。化学方程式は得意ですが、決算書類とかはあまり得意ではなかったですね。

 企画なので、どうやったらいいかなと考えていた時、たまたま『孫子』を読み出したのです。これは兵法ですから、「要領よく勝つ方法を何かいいとこ取りしてやろう」「うまい方法を見つけてやれ」と最初は思っていたんですよ。そういう本だと思って『孫子』を読み始めたら、いちばん最初に、

兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なり。察せざるべからず(戦争は国家の重大事であって、国民の生死、国家の存亡がかかっている。それゆえ、細心の検討が加えられなければならない) 始計篇

とあるわけです。あそこでまずびっくりしました。「兵」とは戦争ですよね。戦争を起こそうと思ったら、そんじょそこらの気軽な気持ちで始めてはいけないということです。ちょうど、「会社の方向を大きく変える」ときでしたから、「兵は会社の大事なり」という気持ちで、『孫子』を拾い読みしていきました。すると、所々にいいことが書いてあるわけですよ。企画ですから、いっぱい戦略を練らなくてはいけない。

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