クロネコ遺伝子-生き続ける「小倉昌男イズム」-

「不在時に配達してほしいか?」――お客様が喜ばないのは会社が悪いから 岡田知也氏

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 発言した支社長は、不在で再度配達するときは別料金などをいただいたらどうか、ということを言いたかったのではないかと思います。つまり、「配達はきちんとしている。不在だったのは、お客様の都合だ」という考え方です。現場では、不在宅への配達は手間と考えていました。同じ、1個の荷物を2回、3回配達に行けばコストもかかります。収支責任を持った支社長の考え方を短絡的に非難することはできません。会社の会議で効率化という議論は大切な議題です。

 しかし、小倉氏はこの不在時の配達に対して「不在時にお届けするヤマト運輸のほうが悪いのだ」と、そうはっきり言い切りました。「ヤマト運輸が悪い」という表現を用いて即答したのです。

 お客様が望まないこと、喜んでいただけなかったら、悪いのはヤマト運輸。この明確なスタンスが貫かれているのは、長年愛される宅急便に受け継がれている強いクロネコ遺伝子があるからです。

目指すは「良い循環」

 人生と同様、会社も生き物のように変化、成長していくものです。その時々で、判断していかなくてはならないことがたくさんあります。小倉昌男氏も大きな会社を背負っていたのですから、さまざまな判断を要求されてきたと思います。

 小倉氏がさまざまな判断をするとき、何を基準に考えたのでしょうか。「お客様に喜んでいただける」「社員が満足する」「会社の利益に貢献する」――さまざまな決断のポイントがあったと思います。この点、いつも口にしていたある言葉があります。『良い循環』という言葉です。何かを判断するとき、この件(会社の施策など)が良い循環につながるかどうか、という視点で判断していました。

 小倉氏が何かを判断するとき、目指すのは、「ある到達地点」ではなく、「循環していく姿」だったのです。判断することが、良い循環になりうることなのか、悪い循環になりうることなのか、判断基準はそこにあったのではないかと思います。

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