クロネコ遺伝子-生き続ける「小倉昌男イズム」-

「不在時に配達してほしいか?」――お客様が喜ばないのは会社が悪いから 岡田知也氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

不在時に配達してほしいか?

 荷物を届けるのが、宅急便です。届け先がいないとき、つまり、不在のときには、配達することができません。同じ日に、時間を空けて、再度、届けに行くことになります。2~3回届けに行っても不在の場合、やむなく、荷物を持ちもどり、翌日にまた、配達に行くことになります。

 平日は、夫婦共働きの家庭や、買い物や習いごとのために外出していて不在。休日も、家族で買い物やレジャーに行くため、家を留守にすることは増えます。こうして、不在の率はどんどん上昇していきました。宅急便事業の拡大期は、家を留守にすることが多くなり始めた時代でもありました。近年では、セールスドライバー(集配担当者)の一部の担当地域では、1日の配達先の4割以上が不在という場合もあります。

 配達するセールスドライバーの人情として、せっかく配達に行っても、配達先が不在だと、少しがっかりしてしまいます。私にも経験があります。エレベーターのない団地の3階に10kgのお米を配達に行きました。しかし、配達先のご家庭が不在で、そのお米を集配車に持ちもどるため、階段を降りました。「せっかく配達にきたのに......」という気持ちが先行し、正直、軽快に階段を降りる気持ちになれなかったのを覚えています。

 ある会議で、支社長から出た発言です。

「ご不在時の配達で現場は苦労しています。2回、3回と配達に行くと、セールスドライバーの生産性(1日に配達できる個数)が落ちてしまいます。対策を考えなくてはなりません」

 この意見には誰も違和感を覚えませんでした。会議参加者の誰もが思っていた気持ちだったからです。

 しかし、見事に小倉昌男氏は打ち返しました。その、打ち返しの言葉を通じて、会議を傍聴していた私は、小倉氏の考え方に驚きました。

『お客様は、ヤマト運輸に「不在時に配達してほしい」と言っているのですか。本当に希望しているのですか。おそらく、荷物を受け取りたいので、自分が在宅しているときに配達してほしいと思っていると思いますよ。ということは、ご不在時にお届けするヤマト運輸がいけないということになりませんか。......つまり、不在時にお届けするヤマト運輸が悪いということです』

関連情報

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。