クロネコ遺伝子-生き続ける「小倉昌男イズム」-

「不在時に配達してほしいか?」――お客様が喜ばないのは会社が悪いから 岡田知也氏

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 しかし、小倉氏はこう言いました。

『翌日配達することはコストのかかることと思っている人(社員)がいるかもしれません。しかし、荷物を1日留めれば、保管する倉庫も必要となります。翌日配達では、移動しているトラックの荷台が倉庫がわりになっているという考え方はできませんか』

 なるほどです。トラックの荷台が倉庫と考えれば、翌日配達するためのコストは、2~3日後配達するより安くなる、というわけです。そのひと言を、皆が心で理解しました。

 また、同じ部署では、「引越らくらくパック」のコンセプト・開発を数年かけて進めていました。このときも、小倉氏の、

『東京の旧居で出勤したお父さんが、大阪の新居に帰ってきたらそのまま旧居が再現している。こんな引っ越しができたら素晴らしいな』

という言葉で、開発が動きだしました。

 小倉氏は、常に「考え方」を重んじていました。その考え方は、頭だけ、理論理屈だけで身につくものではなく、心で理解・納得していないと、その人自身の「考え方」にはなりません。その人自身の考え方になっていないと、さまざまなことに遭遇したとき、きちんとした対応ができません。きちんとした対応ができないと、仕事での達成感も生まれず、幸せな人生も送れない。ということになります。

 では、どうすれば心で理解・納得ができるのか? 小倉氏の使った「ひらがな言葉」、この言葉で語りかけ説明するのが、一番有効だったのです。

世のためにならない無駄な競争はしない

 私が本社係長の時、小倉昌男氏に呼ばれました。当時の上司である部長は知っていたのでしょうが、あえて勉強のために直接、私1人で話を受けさせることにしたようです。

 小倉氏は、

『国鉄が民営化されたが、日本通運とはとても関係が深いよね。当社も何か知恵を出さなければならないな。JRとなった国鉄と新しいサービスを開発すれば、お客様に喜んでいただけると思う。そして、結果として、日本通運との関係に割って入れれば、それはそれで良いかもしれないね』

と物静かな語り口で話されました。

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