クロネコ遺伝子-生き続ける「小倉昌男イズム」-

「不在時に配達してほしいか?」――お客様が喜ばないのは会社が悪いから 岡田知也氏

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 今では当たり前の光景ですが、「宅急便の取り扱い(荷物受付)をコンビニエンスストアで行えるようにしたい」と、私が社内で提案したときのことです。当時は、全国の多くのお米屋さん、お酒屋さんに宅急便の取り扱いをお願いしていました。配達をしていただいているお米屋さん、お酒屋さんも多くいらっしゃいました。今もヤマト運輸にとっては大切なパートナーですが、当時から強い結びつきがありました。そのため、現場責任者の支社長は、私の提案に心配を投げかけました。

「お米屋さん、お酒屋さんの目の前のコンビニエンスストアで宅急便の取り扱いが始まれば、お米屋さん、お酒屋さんの受け付ける荷物が減ってしまうのでないか。大切なパートナーである彼らの不利益になってしまわないか」

 私は全国をまわり、支社長を説得しましたが、若い私の提案には消極的でした。

 そのとき、小倉氏が助言してくれたのです(以下、本連載では、小倉氏の言葉を『 』でくくります)。

『(宅急便を)多くの方にご利用いただけるようになるのはどうしたらよいのかな......』

 このひと言で、プロジェクトは大きく前進していきます。

 「コンビニエンスストアを利用しているのは、お米屋さんとお酒屋さんとはちがうお客様である。このお客様に宅急便をご利用いただけるようになる、となれば、宅急便をさらに多くの方ご利用いただける」と整理をして、コンビニエンスストアでの宅急便取り扱い開始を決めることになったのです。

 その後、このチャネル(コンビニエンスストア)はたいへん多くの方にご利用いただくことになります。思い出深い仕事の1つでもありますが、思い出深い、小倉氏の「わかりやすい、ひらがな言葉」の1つでもあります。

 宅急便の翌日配達についても、当初、こんなエピソードがありました。

 お客様からお預かりした荷物を、その翌日、相手にお届けするというのは、実は、とてもたいへんなことです。限られた時間内で、集荷から仕分け、地域間輸送、配達と、実にたくさんの工程を経なければなりません。翌日配達を実現するためには、当然、コストもそれだけかかると、多くの社員は思っていました。

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