クロネコ遺伝子-生き続ける「小倉昌男イズム」-

「やさしく言えるから管理職」――できないのは自らが理解していないから 岡田知也氏

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 また、伝える相手(部下)にわかりやすく話すために、平素から部下の話を聞き、部下自身のことを理解していなければならない、とコミュニケーションの大切さも説いていました。会議の場でも、難しく話す幹部には、小倉氏自らが「要は......、言い換えると......」など、平易な言葉に置き換えて話を進めていました。

 小倉氏は、やさしく言うということを、家族に話す場合にたとえたことがあります。家族は、他人とちがい、わかり合えることが多いはず。相手のことを理解しているから、わかり合えることが多いのだと言っていました。そして、部下に伝えるというのも、家族に話すのも、同じことだと考えていたのです。

 つまり、小倉氏が「やさしく言う」という「やさしく」は、相手にわかりやすく話ができるという意味でした。上司と部下という関係の前に、理解し合える人と人の関係が出来ていることが大切である、という教えです。

 やさしく言える天才である小倉氏は、話し方が上手ということでなく、素直な気持ちで人に語りかけることのできる天才だったのかもしれません。誰に対しても素直な心で話しかけるので、聞くほうもみな理解することができました。人は他人の話を聞くとき、言葉の表面だけを聞いているのではありません。言葉の背後にある心と一緒に聞いているのです。やさしく言える天才は、心で話すことができる天才だったと言えるかもしれません。

 少し余談になりますが、小倉氏の家族思いというエピソードを紹介します。

 ある週刊誌で、「今話題の経営者」というテーマで、小倉氏が奥様の買い物に同行し、奥様の脇で買い物袋を持ちながら歩いているご夫婦の写真が掲載されました。週刊誌の見出しは、

「会社を離れても奥様の宅急便......」

です。ずいぶん粋な見出しをつけたものです。ともかく、仲の良いご夫婦でした。

 小倉氏は、奥様に話すときと会社幹部に話すとき、どちらにもやさしく言えたのだと思います。難しいことでも、きちんと気持ちで話すことができたからです。同じように管理職にも、社員に「やさしく伝えて」ほしかったのです。

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