クロネコ遺伝子-生き続ける「小倉昌男イズム」-

「失敗を他人のせいにしない」――その段階で自らの成長はない 岡田知也氏

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わき役のいないドラマ

 映画やドラマには主役が存在し、名わき役が場面を盛り上げていきます。

 企業経営も、ドラマと言われることがありますが、クロネコヤマトの経営の場面には、わき役が存在していませんでした。関係している人たちはみな、自分たちが主役だと信じて仕事をしていたのです。製品などを納入しているお取引先(業者)の方たちでさえ、自分たちもその分野で主役にならなくてはいけないと志を持っていたほどです。クロネコの主役とは、決して目立つことではありません。自らがしっかりクロネコヤマトを支えるのだという意識を持っていることでした。

 そのことを象徴する2つの例をお話しします。

 ひとつは、「ブランドづくりの主役」というものです。

 ある日、私は、仕事帰りに、会社近くの理髪店に立ち寄りました。先客が、整髪を受けていました。そのときは私も先客も、お互いのことがわかっていません。ただ、声に聞き覚えがあったので、ちらりと横目でその先客を見ました。するとその先客が、ヤマト運輸を担当している大手広告代理店の営業担当者だったので驚きました。

理髪店主 ヤマトさんも随分大きくなりましたよね。

先客 そうだね......どんどん有名になっていくよね。

理髪店主 イメージも上がりましたしね......

先客 そうでしょ......僕たち、ヤマトさんが世間にイメージよく伝わるように日々考えているからね。まあ、ヤマトブランドをつくったのは僕たちかもしれないかな(笑)

 理髪店での、店主とお客との散髪しながらの何げない会話です。

 この広告代理店の営業担当者は、ヤマトのイメージは自分たちがつくった、と笑いながら話していたのです。ブランドイメージをつくるという分野では、自分が主役なんだという思いで、情熱を傾けてくれていたのだと思います。

 もうひとつは「荷物は自分たちが守る」という話です。

 セールスドライバーは荷物の集配時に、携帯情報端末で伝票ナンバーを入力します。この伝票入力をすることで、荷物に関する問い合わせ(荷物の所在確認)ができるようになり、配達の正確性を高めることができます。先にもお話しした、私がこの携帯情報端末の開発を任されていたときのことです。

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