クロネコ遺伝子-生き続ける「小倉昌男イズム」-

「需要など存在しない」――必要なのは新しい世の中をつくること 岡田知也氏

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使いやすいトラック

 運送業は、トラックなくして仕事はできません。私がヤマト運輸に入社したころも、多くのメーカーが多様なトラックをつくっていました。荷台が大きくしっかりしていて、大きな荷物や重い荷物をたくさん積むことができる。なおかつ故障しない。こんなトラックが良いとされていました。運送業の経営者も、積載率の高いトラックは多くの荷物を運べるため、運賃も多くもらえ、売上があがることになるので歓迎していました。また、故障が少なければ修理代という経費も少なくてすみます。近年はそこに燃費の良さが加わることになります。

 大きくて重いハンドルを動かすことは、強い男性の仕事の象徴のようで、あこがれて運送業に就職してきた若い男性も多くいました。荷台に荷物を積んだり、下ろしたりするのも、腕まくりし、自らの光る汗に達成感を感じていました。

 当時は百貨店などの荷物を宅配する小型の車両も、汎用的な車両に設計されていて、特に宅配向きの車両というものはありませんでした。つまり、仕事で使うトラックや小型車両はあくまでメーカーがつくった車で、それに合わせて運送会社のほうで仕事のやり方を工夫するのが一般的でした。特に、宅配分野については社会的な認知がまだ大きくなかったこともあり、宅配に都合の良い車両というものは存在していませんでした。

 当然、宅急便の集配車も一般的なトラックを使用していましたが、小倉昌男氏はここに疑問を持ちます。

 一般的なトラックは、一般的な配送作業を想定してつくられています。つまり、倉庫などで荷物を積み、配送先で荷物を下ろす。積み下ろしは、せいぜい1日に2回か3回。さらに、積み込みや積み下ろしの作業は、フォークリフト(荷物を積み下ろしする専用の機械)を操作する荷主や配送先の作業担当者が行ってくれることもある、というスタイルです。

 しかし、宅急便の集配業務は、決められた地域内を回り配達や集荷をする仕事で、走行距離は少なく、速度を上げて走ることもほとんどない代わりに、止まったり、発進したりする頻度が多くなります。なにより、集配担当者(セールスドライバー)は1日に何度も配送車両から乗り降りし、自ら荷台に行き、集配荷物の積み込み、積み下ろしを繰り返します。

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