「なぜか売れる」の公式

顧客は「機能」ではなく「価値」で商品を選ぶ マーケティング アイズ代表取締役 理央 周

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青く澄んだ海は、どこにあるのか

 独自の強みと言っても、今すでにある市場で他社との違いをつくり出すことだけに固執していては、この先長く成長していくことは難しいかもしれません。もし、そこが多くの競合がひしめいていて、激しい競争が繰り広げられている市場だったら、そこから抜け出し、新たな価値を生み出すことで、新しい市場を切り開いていく。そういう考え方もあるはずです。

 経営戦略のひとつに、ブルー・オーシャン戦略というものがあります。これは、フランスの欧州経営大学院(INSEAD)教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュが著した『ブルー・オーシャン戦略』(ダイヤモンド社)という本で提唱された戦略論です。

 その本では、多くの競合が参入し、限られたパイの奪い合いをして血みどろの価格競争に陥っている市場を「赤い血の海=レッド・オーシャン」と呼びます。逆に、競合がおらず、競争がまだ存在しない未開拓の市場を「青く澄んだ海=ブルー・オーシャン」と名づけています。

 既存の市場で競合と戦っているだけでは、企業は成長し続けることができない。利益ある力強い成長を実現するには、新しい市場、新たなカテゴリーを創り出すことが必要だというのが、この戦略のポイントです。

 競合との値引き合戦で消耗するのは困る。だから、ブルー・オーシャンを目指したい。このとき、多くの場合、レッド・オーシャンから遠く離れたところにブルー・オーシャンを探そうと考えてしまいがちです。しかし、なぜその市場が赤い海になっているのか。そこに多くの需要があるからです。需要があるから、多くの競合がひしめき血を流し、赤くなっているわけです。

 仮にそこから遠いところに青い海を開拓しようとした場合、需要をゼロから掘り起こさなければなりません。そこに需要がない恐れもあります。したがって、ブルー・オーシャンは赤い海から完全に抜け出てしまった場所ではなく、半分赤い海に浸かりつつ、半分外に出ているところを開拓すればいいはずです。需要はあるけれども、これまでとは少し違う市場を目指すのです。

新しくないのに、まったく新しいエンターテインメント

 『ブルー・オーシャン戦略』の中で最初に取り上げられている事例が、シルク・ドゥ・ソレイユです。

 読者の皆さんの中にも、ご覧になったことがある方もいらっしゃるかと思います。これはサーカスの伝統様式をベースに、ダンスやバレエ、ミュージカルなどを合わせたエンターテインメント・ショーです。これまでになかったまったく新しいタイプのライブ・エンターテインメントは、世界中の人々を魅了し続けています。

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