「なぜか売れる」の公式

顧客は「機能」ではなく「価値」で商品を選ぶ マーケティング アイズ代表取締役 理央 周

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 ですから、マーケティングのプロの方から見れば、私のこれまでの説明は「機能的な価値」まで含んで「機能」としている部分もありますから、「なんと乱暴な」と思われるのは間違いありません。

 しかし本連載は、誰でも使えることを目指していますから、これまで通りスペックそのものを売りにすることを「機能」、使うことによって得られる効用を「価値」と、あえて超おおざっぱに説明していきます。

イケアが売っているのは家具ではない

 さて、話を戻します。

 商品の機能より価値に重点を置き、その価値を顧客が実感できる売り場づくりをして、好業績を上げているのがイケア(IKEA)です。イケアは、スウェーデン発祥の世界最大の家具販売店。日本でも大変人気が高く、私も大好きで、ホームページを見たり、家でカタログを眺めたりしています。なぜ好きなのか。それは「ルームセット」を見るのが楽しいからです。

 ルームセットとは、イケアの家具や雑貨をコーディネートしたテーマ別のモデルルームのことで、「3LDK68平方メートル」「2LDK54平方メートル」など、実寸のリアルな部屋を作って家具が配置されています。そこで使われる家具や雑貨は、その部屋に住む人の家族構成や職業、趣味や価値観などを細かくイメージした上で、コーディネートされているのだそうです。ルームセットでは実際に家具に触れることができますし、ソファやベッドに座ることもできます。そこでの実際の暮らしが思い描けます。

 日本にある多くの家具店はテーブルコーナー、ベッドコーナー、収納コーナーと、家具をカテゴリーごとに分けて展示してあるのが普通です。家具店ですから当然なのですが、こういうお店は「家具」を売っているわけです。

 一方で、イケアは単に家具や雑貨を売ってはいません。ルームセットで顧客に実際の暮らしをイメージしてもらうことで、「くつろぎの空間」「心地よい暮らし」、ひいては「ライフスタイル」そのものを売っているのです。家具という機能ではなく、家具を使ったときの心地よさや満足感といった価値を売っているわけです。

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