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顧客は「機能」ではなく「価値」で商品を選ぶ マーケティング アイズ代表取締役 理央 周

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鉄道会社は、顧客を移動させるのが仕事

 このあたりの議論、もちろん私が独自に考えたわけではありません。かつてハーバード大学のビジネススクールにセオドア・レビット教授というマーケティングの研究者がいました。レビットは1960年に「ハーバード・ビジネスレビュー」で、「マーケティング・マイオピア(Marketing Myopia)」、いわゆる「近視眼的マーケティング」という論文を発表しました。

 ここでレビット教授は鉄道を例に、自動車が普及し、鉄道会社が苦境に陥ったのは、自らを「近視眼的」に鉄道を運行する会社として認識し、顧客にとっての価値、「移動すること」を提供する会社であることが理解できなかったからだ、と説明しています。レビット教授の議論は、鉄道サービスという商品でなく、鉄道という運送手段がもたらす効用に目を向けなさいと主張した意味で、非常に画期的でした。

 これまで商品やサービスを通じて顧客に提供するには、機能と価値という側面があると説明してきましたが、もちろんそれぞれ、完全に独立したものではありません。わかりやすく言うと、機能的な面から顧客にもたらす「価値」もあるわけです。たとえば、うどんであれば、でんぷん何グラム、塩分何グラム的な機能面から、人体の維持や活力源として必要な栄養素を顧客に価値として提供しています。そこで、価値にも「機能的な価値」があると理解できます。

 ここから、少しややこしい話になってしまいますが、大切な部分ですので、ちょっと頑張っておつきあいください。

 一方で、先にも説明したように、商品やサービスを買ったり、使ったりすると、自分の気分がよくなる「情緒的な価値」があって、さらに、世の中が進んでいくと、環境にやさしいといった「社会的な価値」をもたらすようになった、という考え方も現れます。近い話はマーケティングの大家フィリップ・コトラーというアメリカの研究者が2010年に『マーケティング3.0』(朝日新聞出版)という書物で述べています。

 つまり、「価値」と言っても、とらえ方によってさまざまな見方があるわけです。

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