コストは、必ず半減できる。

コストは"創る"から面白い 三木博幸氏

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 利益が出なくなると、コストを削減しようと考えるのは当然のなりゆきかもしれません。しかし、コスト削減だけを狙うと、思わぬ落とし穴にはまることがあります。

 クボタにいたころの、そんな失敗談です。

コスト削減だけを狙うと失敗する

 所属していた現場で、「TCR(トータル・コスト・リダクション)20」なる開発革新運動が企画・推進されたことがありました。現行の製品のコストを20%削減することを目標に掲げ、部品ごとにコストダウンを図り、それらの総和で目標値を達成しようというもの。部門別にある部品を取り上げ、たとえば「ここをこう変えて10円安くする」と図面と帳票を添えて提出し、部門同士で達成度を競うというのがその内実でした。

 結果はどうだったかというと、一部成果を上げた製品もありましたが、多くは散々な結果に終わりました。

 というのも、そのコストダウンの内実は、立体形状の豪華なアルミダイキャスト製の名板類を薄いアルミ名板やテープ状の貼り付け名板にしたり、ニッケルクロームメッキのハンドル操作部品を塗装部品に変えたりすることにすぎなかったからです。つまり、性能や機能はそのままで、部品個々の外観は安っぽくなり、格安というならともかく、利益が出る程度の値下げをしただけだったので、お客様はもとより販売店員からも不評を買ってしまったのです。

 失敗例はまだあります。

 ボンネットやカバーのような外装板金部品をプラスチック材に変えると、大幅なコストダウンが見込めるうえ、プラスチック特有の成形性の良さから、外観デザインも一新できる魅力があります。しかし、かつてはずいぶん幼稚な開発をやっていました。トラクターのフロントカバーをプラスチック製に変えた新機種を発売したところ、製品全体の評価は悪くなかったのですが、フロントカバーがクレームの対象になったのです。耐光性が弱く、店頭に数カ月展示しただけで、オレンジ色の外観からつやがなくなり色あせてしまうというのです。

 また、東北地方のタバコ農家からも苦情が殺到しました。タバコの葉を収穫した後、タバコの茎だけが残された畝を耕すとき、フロントカバーにその茎がぶつかって、カバーがバラバラに壊れてしまうというのです。変色するのも問題ですが、カバーがバラバラになるのは、なすすべがありませんでした。後で聞いた話によると、現地の販売店が、機転を利かしてパイプ状のプロテクターを取り付け、難を逃れてくれたそうです。

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