創造を支えるビッグデータ活用の針路

不動産売買の「買い主不利」はもう終わり!? おたに 小谷祐一朗氏

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――住民の流入量や流出量も価格への影響力があると思いますが、人口動態は考慮しているのでしょうか。

 今のところは考えていませんが、おっしゃる通り人の動きは時系列でみたときに価格変動に大きな影響をおよぼす可能性があるので、アルゴリズムに反映していきたいと考えています。

プロの不動産会社から利用依頼が相次ぐ

――アルゴリズムを使って解析するデータはどうやって集めたのですか?

 1970年代からの公示地価や、国勢調査をはじめとするオープンデータを活用しています。オープンデータを取り入れることで解析対象のデータ量が格段に増えますから、アルゴリズムの工夫次第でデータから解釈できる内容の幅を広げる効果が期待できます。そのうえ最近になってXML形式やCSV形式の汎用的な電子データとして各種情報が公開され始めたことで、オープンデータの使い勝手は格段に上がっています。これらを解析に生かさない手はありません。

 もっとも、データの公開元によって文字コードが違っているとか、番地表記が漢数字と半角英数字でバラつきがあるなど、オープンデータにはまだ課題があります。現時点では、解析前にデータを整えるクレンジング作業が欠かせませんが、省庁や自治体が共通の指針を定めてデータを公開するようになれば、オープンデータの利便性は一層高まるはずです。

――オープンデータの信頼性は省庁や自治体のお墨付きなのでさておき、GEEOが導き出した予測価格はどの程度の信頼性があるのでしょうか。失礼ながら、気になります。

 アルゴリズムはノウハウの固まりなので非公開にしています。そのため予測精度を高める工夫について詳しく説明できないのが正直なところです。

 ただ、計量経済学を専攻して地価の統計解析を学び始めたのを皮切りに、米国の研究機関への留学中から現在まで8年余りにわたってデータサイエンティストとしての経験を積んできました。地域によっては明らかに不自然な予測価格を提示してしまう例も一部で残っており、アルゴリズムの改良余地はもちろんありますが、現段階でGEEOによる価格の予測精度はかなり高い水準に仕上がっていると考えています。

 不動産会社から「アルゴリズムを教えてほしい」という問い合わせも多く、2014年9月のサービス開始から半年足らずで10件以上ありました。

――プロの不動産会社がGEEOの予測価格の妥当性を認めているわけですね。外販する計画は?

 今は消費者向けの無料サービスとして提供していますが、近いうちに不動産会社向けの有料サービスを計画していて、販売協力先との話し合いを始めたところです。プロ向けには土地と建物の価格を別々に算出したり、賃貸物件の収益性を表示したりする機能を追加していく予定です。これと並行してGEEOの海外展開も視野に入れており、このほど英国版のプロトタイプを公開しました。

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