創造を支えるビッグデータ活用の針路

ビッグデータが生命保険の"常識"に風穴を開ける アクサ生命保険 松田貴夫氏 

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――契約者から協力を得られるかどうかが、ビッグデータ活用の成否を分けますね。

 突き詰めて考えると、課題は2点に集約できます。健康チャレンジの課題をクリアすることで、本当に健康になっているのかを明示できるかが1つです。スマートフォンやセンサー機器の普及によって、運動データは比較的容易に測定できるようになりました。しかし、運動と健康の関連性については、今のところ限定的に相関を示すデータしかありません。これまで明らかになっていない内容を含め、運動と健康の関連性を紐解くのは、疾病関連の情報とお客様の運動データを共に手に入れ解析できる生命保険会社の新たなミッションだと思います。

 2点目は、お客様にベネフィットを明示できるかどうかです。分かりやすい例として保険料の話ばかりをしてきましたが、それだけで十分とは言えません。早期に病気を発見することで、予後が軽くなった。生命保険会社のサポートが迅速だったおかげで、早く病気から回復して家族との生活を楽しんだり、好きな仕事で従来通り力を発揮したりできる。こうした効果をデータに基づいて示し納得感を高めてもらうことで、生命保険会社の取り組みを理解いただけなければ、ビッグデータ活用は絵に描いた餅になりかねません。

保険のプロとデジタルネイティブによるエコシステムを構築

――最後に、2013年にシリコンバレーに設立した「AXA Lab」の位置づけを教えてください。

 AXA Labは、世界約60カ国で事業展開しているアクサ生命グループ全体のデジタル化推進拠点です。今まで話してきたとおり、ビッグデータが生命保険の合理性向上に役立つことは間違いありません。業界構造が変わってしまう可能性も見えている以上、デジタル化の流れを考慮した事業の変革は不可避です。

 しかし、課題は意外と多いことも事実。各国で個別にビッグデータ活用の研究をしていては変革に時間がかかり、合理的な商品・サービスを迅速に提供できなくなる恐れがあります。そこでグループの事業改革を加速させる中核拠点として、シリコンバレーに研究機関を設けました。

――シリコンバレーに設立した理由は?

 シリコンバレーには最先端のデジタル技術や動向に通じた人材が豊富にいます。そのため、デジタル化に伴う世界中のイノベーションの大半が生み出されると言われています。生命保険の事業を革新していくには、そうしたデジタルネイティブ人材とエコシステムを築きやすいシリコンバレーが最適だと判断しました。

 AXA Labで研究するのは、ビッグデータ活用による保険商品の合理性の向上だけではありません。若い年代のお客様との接点として、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を有効活用する方法なども探ります。デジタル化がもたらす社会や産業の変化を幅広く捉えて一歩ずつ変革を進め、最終的には生命保険における顧客体験を変えていきたいと考えています。

キーワード:AI、IoT、ICT、イノベーション、経営、経営層、技術、働き方改革、プレーヤー

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