創造を支えるビッグデータ活用の針路

ビッグデータが生命保険の"常識"に風穴を開ける アクサ生命保険 松田貴夫氏 

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 ただし、そのためには保険料だけを考えるのではなく、生命保険ならではの長いバリューチェーンの全体でデータを生かしていくことが肝心です。生命保険商品の特性上、若い時期に契約した商品の保険金を請求する日が来るのが35年後ということもあります。この長い期間を当社は、病気になる前の「ビフォークライシス」、病気になったときの「デュアリングクライシス」、予後の「アフタークライシス」と大きく3つのフェーズに分けてサポートしようとしています。

 例えば、まずは健康関連データに基づいて個々人の健康を害する問題に早期に気付いてもらい、改善のプロセスづくりをお手伝いする。そして改善の結果、身体だけでなく経済面でもメリットを享受していただく。病気を患った場合は、当社の疾病管理情報なども参考にして治療に適切な病院や名医を紹介し、可能な限り早い段階で適した治療を受けられるようにサポートする。治療後は、リハビリ時期の違いによる予後の経過の差を提示しながら、すぐにリハビリをスタートできる環境を整え、早期の社会復帰を支えるといったイメージです。

解析に必要なデータは契約者と共に生み出す

――現状は検討・研究段階ということですが、活用対象として想定しているデータの内容について教えてください。

 大きく2つあります。1つは、身体の状態を示すバイタルデータや健康の維持・促進と関連がある行動データです。お客様ごとのリスクを合理的に測定して、査定や保険料を決めるうえで欠かせません。もう1つは、どのタイミングで病院に行ったか、いつ疾病が見つかったかというイベントデータです。先ほどお話ししたリハビリの早期スタートなどに必要となります。

 いずれのデータも自然と発生して集められるものばかりではないので、多くはお客様と一緒に生み出していくことになると思います。日々の運動量に関する行動データはその典型です。健康状態を維持するには、1日の運動量が平均1万歩を超える必要があると仮定した場合、「健康チャレンジ」として1万歩を歩くという課題を当社から提示し、お客様に実行してもらう。その課題をクリアしたら次のステップとして、自宅最寄り駅の1つ手前で電車を降りて徒歩で帰宅するなど、新たな課題を追加して取り組んでもらう。

 行動は一人ひとり異なりますから、汎用的なビッグデータを統計処理するだけで、すべての人にとって生命保険の合理性を高められるわけではありません。ですから、目的に応じてお客様ごとに課題を設け、それをクリアする過程でデータが蓄積され続ける仕組みが必要です。

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