創造を支えるビッグデータ活用の針路

ビッグデータが生命保険の"常識"に風穴を開ける アクサ生命保険 松田貴夫氏 

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

――生活習慣で病気になるリスクが違ってくるのであれば、合理的とは言えませんね。

 当社のお客様の気持ちの中にも、一定の不公平感が根源的にあったと思います。それでも年齢や性別以外の情報を調べる術がほとんどなかった。そのため、疑問を持ちながらも、これまでの生命保険商品の保険料は年齢や性別を基に測定するのが合理的だと考えられてきました。

 ところが、最近はリスクを測るのに有効な情報がたくさん手に入ります。例えば、膨大なデータに基づく遺伝子検査を通じて、がんの発生確率がある程度見えるようになってきました。がんの発生確率が標準的な値より10倍高い人がいれば、10分の1程度の人もいます。その差は100倍もあるのに、年齢と性別が同じなら同じ保険料をいただいてきた。それを合理的としてきた生命保険業界の慣習に風穴を開けるほど、昨今のデジタル化の勢いとビッグデータにはインパクトがあると思います。

保険商品を健康維持活動のインセンティブに

――具体的にどのような形で保険商品の合理性を高めていくお考えですか。

 まだ検討・研究の域を出ていませんが、健康であることを確認できたお客様の保険料を下げるという方向性は1つです。契約時に健康状態が思わしくなかったとしても、その後に健康になった段階で保険料を一部返還するといったことも考えられます。

 当社の商品の中に、簡単な4種類の告知項目のチェックだけで、持病のある人や過去に入院・手術の経験がある人でも契約できる医療保険があります。査定がシンプルな半面、保険料は少し高く設定されているのです。その保険で、一念発起して運動に取り組んだり食事制限をしたりして健康を取り戻した方の保険料を安くできたら、単なる保険商品ではなく健康へのインセンティブになります。

――保険料が健康を保つ動機になれば、国民健康保険や健康保険組合の財政悪化という社会問題の解消にもつながりそうです。

 生命保険会社には、病気や事故で辛い思いをしている方を金銭面や精神面でサポートする使命があります。それに加えて、お客様が病気にならないようにする、あるいは病気からの早い回復の一端を担う。こんなことが実現できれば、生命保険会社の社会貢献度は高まると考えています。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。