創造を支えるビッグデータ活用の針路

景気の先行指標にもなり得る位置情報のビッグデータ分析 コロプラ 長谷部潤氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

景気の先行指標にもなり得る位置データの価値に気づく

――まずはどういった用途で位置データを分析し始めたのでしょうか。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、人の移動状況を調べることから始めました。ご存じの通り、当時は旅行はもちろん、外出さえもできるだけ控えるムードがありました。人が移動しないことには経済再生はもとより、被災地の復興や復旧にもよくありません。そのことを理解している人たちを中心に、意外と人の移動が活発なのではないかと考え、ログデータを分析したのです。具体的には、関東の1都3県から東北の被災3県への移動状況を調べました。

――結果は、震災前並みに移動が活発だった?

 いいえ。やはり1人あたりの平均移動距離は震災前に比べて短くなっていました。これが3月13日から徐々に増え始め、3月20日以降は東京から被災3県への平均移動距離が震災前の平日の7割程度まで回復しました。その後も対象地域を広げながら毎週分析を続け、全国の1人あたりの平均移動距離が前年同日比で上回る傾向を確認したのはゴールデンウィークに入ってからです。

 このタイミングで、復興や復旧のボランティア活動のために、たくさんの人が本格的に動き出したのが1つの理由でしょう。しばらく続いていた自粛ムードが払しょくされ、レジャーを含めて消費者の活動が戻りつつあることも伺い知れました。

 それまでほぼ一貫して下回る傾向にあった平均移動距離が、ゴールデンウィーク期間中に一気に約8%も増えたことには、正直なところ驚きました。同時に、社会の雰囲気の潮目が変わる様子を目の当たりにしているのではないか。ひょっとしたら日本経済は、震災後の停滞から一気にV字回復するのではないかという感覚を持ちました。

――大量の位置データを分析することで移動状況が詳細に把握できるだけでなく、そこから経済の先行きを見通す応用の道が見えてきた。

 おっしゃる通りです。私は証券会社系のシンクタンク出身ということもあり、身に染みついた習慣として普段から色々なデータを景気の先行指標として見てきました。それでも、文字通り手に取るように社会の動きを把握できたことに、当社がゲームを通じて蓄積してきた位置データの価値の大きさを感じずにはいられませんでした。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。