創造を支えるビッグデータ活用の針路

日本郵船が燃料費を300億円削減、気象条件に合わせ運航を最適化 MTI 安藤英幸氏

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 自らコントロールできない複雑かつあまたの制約。その中で最善の手を打ち続けなければ、競争に勝つことはできない。風や波など自然条件の変化に順応しながら、ここ10年ほどで5倍以上に跳ね上がった燃料コストの負担増に対処しなければならない海運業は、その典型的な産業だ。競争力向上を目指してビッグデータ活用を推し進めている日本郵船の取り組みについて、同社グループで船舶輸送技術の研究開発を担うMTIの安藤英幸氏に話を聞いた。

――5、6年ほど前からビッグデータ活用に取り組み、目に見える成果を上げ始めているそうですね。最初にデータ活用に乗り出した背景を聞かせてください。

安藤 英幸 氏 MTI 船舶技術部門長 兼 船舶情報グループ長 1997年3月、東京大学大学院工学系研究科修了。2003年8月から同大学院新領域創成科学研究科環境学専攻の助教授を務める。2005年10月、船舶輸送技術の研究開発を担う日本郵船グループのMTIの船舶技術ユニット プロジェクト・マネージャーに着任。2013年4月に船舶情報グループ グループ長。翌2014年4月からは船舶技術部門の部門長を兼任し、研究開発をけん引している。工学博士。

安藤 英幸 氏 MTI 船舶技術部門長 兼 船舶情報グループ長

1997年3月、東京大学大学院工学系研究科修了。2003年8月から同大学院新領域創成科学研究科環境学専攻の助教授を務める。2005年10月、船舶輸送技術の研究開発を担う日本郵船グループのMTIの船舶技術ユニット プロジェクト・マネージャーに着任。2013年4月に船舶情報グループ グループ長。翌2014年4月からは船舶技術部門の部門長を兼任し、研究開発をけん引している。工学博士。

 船を動かすのに必要なコストの構造が変わってきたのが大きな理由です。以前は人件費や船の減価償却費などがコストの大半を占めていました。しかし、2004年頃から燃料コストの占める割合が大きくなってきました。商船の燃料として使用するC重油の価格が、かつての1トンあたり百数十ドル程度から5~6倍に跳ね上がったためです。

 大型のコンテナ船がフルスピードで航行すると1日に約200トンもの燃料を消費します。日本郵船グループ全体では年間500万トン以上にもなりますので、1トン600ドルと仮定すると、年間で30億ドルを超える計算になります。

――コスト構造の変化によって、燃料コストの削減が大きな経営課題として急浮上してきたわけですね。

 はい。年間の使用量を1%でも減らすことができれば3000万ドルのコスト削減につながります。ですから、考え得るありとあらゆる性能向上策を講じてきましたし、これからも考え続けなければなりません。

 船の減速運転は、そのための方策の1つです。燃料消費は船のスピードの2乗に比例するので、減速による効果は大きいものがあります。水の流れを制御する羽根状の部品を、水中にある船のプロペラの前部に取り付け、プロペラに当たる水流の勢いを遅くするといった工夫もしてきました。これだけでも数%の効率化が出ます。

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