創造を支えるビッグデータ活用の針路

身近なビッグデータを徹底駆使し、マーケティング施策や新商品のヒットへ すかいらーく 神谷勇樹氏

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 データは企業にとって重要な資産だと言われるが、その価値を存分に引き出せている企業は必ずしも多くはない。そんな中、外食大手すかいらーくはマーケティング施策や新商品のヒット量産に向け、小売業にとって身近なPOS(販売時点管理)データの徹底活用に乗り出した。「短期間で検証を繰り返し、試すチャンスをいかに増やすかが肝心」。同社マーケティング本部でビッグデータ活用をけん引する神谷勇樹氏は、ビッグデータ活用のポイントをこう指摘する。

――マーケティング活動強化の一環でビッグデータの活用を本格化させたとうかがっています。すかいらーくは以前からPOS(販売時点管理)データなどの分析に取り組んでいますが、今回改めてデータ活用の強化に臨んだ背景を聞かせてください。

神谷 勇樹 氏 すかいらーく マーケティング本部 インサイト戦略グループ ディレクター 東京大学工学系研究科化学システム工学専攻 修士課程修了。在学中よりシステムエンジニアとして活動。卒業後はボストンコンサルティンググループに入社し、小売り/消費財業界やモバイル/インターネット業界を中心にコンサルティングサービスを手掛ける。その後、グリーを経て、2013年9月、すかいらーくに入社。POS(販売時点情報管理)データなどをベースにした大規模かつ多様なデータ分析の基盤を構築している。

神谷 勇樹 氏 すかいらーく マーケティング本部 インサイト戦略グループ ディレクター

東京大学工学系研究科化学システム工学専攻 修士課程修了。在学中よりシステムエンジニアとして活動。卒業後はボストンコンサルティンググループに入社し、小売り/消費財業界やモバイル/インターネット業界を中心にコンサルティングサービスを手掛ける。その後、グリーを経て、2013年9月、すかいらーくに入社。POS(販売時点情報管理)データなどをベースにした大規模かつ多様なデータ分析の基盤を構築している。

 大きく二つの課題がありました。一つは、データ分析のスピードです。2009年頃、当時としては高機能な分析用システムを導入しました。しかし、テクノロジーは日進月歩で進化しますから、5年前というのはかなり昔で、ハードウエアの性能にどうしても不足が生じてきます。例えば、ある切り口でPOSデータを集計するだけでも4時間、長いと6時間もかかっていました。

 もう一つの課題は、マーケティング施策の効果を測るためのデータ分析の内容です。キャンペーンや商品開発などの施策を次々と展開していくうえで、費用対効果をタイムリーに詳しく測定していく必要があると感じていました。見直しや改善をする際、そもそも施策が上手くいっているのか、思わしくなければ何が原因なのかを知ることが不可欠だからです。ところが、分析に使用するデータが商品ごとに集計したものだったこともあり、把握できる傾向に限界がありました。

――商品ごとの販売傾向の関連性などを見極めるのが難しかった?

 ひと言で言うと、レシートの情報が抜け落ちていたのです。レシートには「チーズINハンバーグ」「ドリンクバー」「ライス」といった具合に、会計ごとにひとまとまりの明細情報が記載されています。しかし、集計したデータからは「どの店舗でチーズINハンバーグがいくつ売れた」といった情報しか分からず、ある商品を召し上がったお客様の単価や粗利、一緒にご注文された商品まではつかみきれませんでした。

 これらの課題を解決するため、POSデータの保管庫として、データウエアハウスを新たに導入しました。売り上げに関するすべての明細データを、クラウドに設けたデータウエアハウスに集約しています。現時点で50億件ほどのデータがたまっています。保管するデータの圧縮技術など技術の進化はすごいと感じます。今すぐには使わないかもしれないデータを含め、選別せずに全件をデータウエアハウスに保管できるようになりましたから。

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