創造を支えるビッグデータ活用の針路

少ないデータでビッグデータの利点を引き出す シナジーマーケティング 谷井等氏

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意思決定に影響を及ぼす「単語」を顧客の属性として抽出

――販売促進やマーケティングでの活用はいかがですか。顧客の価値観が分かっただけだと、実際に商品購入に至る確率が高い顧客かどうかまでは見極められない気がします。 

後迫 おっしゃる通り。12種類の価値観だけでなく、購買履歴やメールマガジンのクリック、Webサイトの閲覧など行動データを組み合わせる。そこまで顧客の可視化に踏み込むと、高確率で購入につながる顧客を探し出すことが可能になります。

 ただし、行動データとして用いるのは、どの商品を購入したかや閲覧したWebサイトのアドレスを示しただけの単純なログデータではありません。顧客の意思決定に影響を与えたと考えられる言葉です。

――意思決定を左右した言葉なんか分かります? 

後迫 自然言語処理の技術を使うと浮かび上がってくるんです。

 具体的には、購買履歴から顧客が購入した商品を特定し、当該商品を紹介したWebサイトに含まれる文章を、自然言語処理に広く使われている形態素解析によって意味のある単語に分解し、すべての単語を抽出する。メールマガジンの場合は、クリックしたWebサイトのアドレスの前に記した文章から単語を抜き出す。すると、すぐに数100~数千個ほどの単語が顧客の属性として生成されます。iNSIGHTBOXでは、こうして生み出した単語のデータを洗い出して単語別の抽出数を集計し、頻出する単語が顧客の意思決定を左右する大きな要因になっていると判断します。

 メールマガジンやダイレクトメールを送る際は文面をiNSIGHTBOXに入力し、顧客の意思決定に影響がある単語と照合し、適合率が高く高確率でクリックや購入が期待できる顧客を絞り込みます。

ダイレクトメールの配信先を見直し、売上高1億6000万円増加

――どういった企業が実践しているか教えてください。

後迫 国産靴下の専門店「靴下屋」を展開するタビオが特定の4種類の商品を訴求する目的でメールマガジンを配信したケースでは、ランダムに抽出した顧客に比べ、文面に含まれる単語と適合率が高い顧客のメール開封率が2.6倍、クリック率が6倍に増えました。最終的に購入に至った顧客約20人のうち90%超は、メールマガジンの配信前に購入確率が極めて高いと位置付けていた顧客でした。情報サイトを手掛けるインターネットサービスプロバイダーでは、メールマガジンに掲載した広告のクリック率が23倍に増えた例もあります。

 宅配ピザ大手はすでに、桁違いの成果を手に入れています。顧客が過去3カ月間に購入した商品からソーセージやペパロニ、チーズなどトッピングの情報を抜き出し、頻出単語とダイレクトメールの内容が合致する顧客約3万人にダイレクトメールを送りました。その結果、ランダムに顧客を抽出して送っていたときに比べ、購入金額が1億6000万円ほど増えました。3カ月間の購入金額が多い、いわゆる優良顧客を対象に送った場合と比較しても6000万円ほど上回っています。

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