創造を支えるビッグデータ活用の針路

少ないデータでビッグデータの利点を引き出す シナジーマーケティング 谷井等氏

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 データが十分に蓄積できていないからと言って、ビッグデータの活用をあきらめなくてよい。統計解析や言語解析を少し工夫して用いるだけで、Webサイトの文章や商品カタログのスペック情報を、顧客の価値観や意思決定の決め手を示唆する宝石に変えられる。CRM(顧客関係管理)のクラウドサービスを展開するシナジーマーケティングの谷井等代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)と、後迫彰iNSIGHTBOX事業推進室長に、少ないデータからでもビッグデータによる顧客の可視化を可能にする方法を聞いた。(文中敬称略)

――ビッグデータを活用した成果を手にする企業がある一方で、「うちにはビッグデータと呼べるほどのデータ量がない」と、関心が薄い企業もあります。

谷井 等 氏 シナジーマーケティング 代表取締役社長 兼 CEO 神戸大学経営学部卒業後、NTTに入社。2000年インデックスデジタルを設立。2005年にシナジーマーケティングを設立し、クラウド型のCRMシステムの提供を開始。2007年に大阪証券取引所ヘラクレス(現JASDAQ)に上場。2010年には、日本企業として初めてとなる米セールスフォース・ドットコムとの業務・資本提携を推進する。現在は、消費者行動予測技術を用いたクラウドサービス群の提供を通じ、企業と消費者との最適なマーケティング・コミュニケーション支援の陣頭指揮を執っている。

谷井 等 氏 シナジーマーケティング 代表取締役社長 兼 CEO

神戸大学経営学部卒業後、NTTに入社。2000年インデックスデジタルを設立。2005年にシナジーマーケティングを設立し、クラウド型のCRMシステムの提供を開始。2007年に大阪証券取引所ヘラクレス(現JASDAQ)に上場。2010年には、日本企業として初めてとなる米セールスフォース・ドットコムとの業務・資本提携を推進する。現在は、消費者行動予測技術を用いたクラウドサービス群の提供を通じ、企業と消費者との最適なマーケティング・コミュニケーション支援の陣頭指揮を執っている。

谷井 何らかの傾向を掴みたいけれども、データ量が足りない。そうしたケースは実際にあります。例えば、企業1社が持っている顧客との接点が少なく、そこから得られるデータ量に限りがあれば、顧客やマーケットの動向を正確に可視化するのは難しい。

 しかし、今、手元にあるデータが少ないために、ビッグデータ活用をあきらめなければならないということはありません。工夫次第で、比較的に少ない量のデータから解析に必要な多くの属性データを生成し、データ量の不足を十分に補うことが可能だからです。

――手元にないデータを生成する?

後迫 データを算出するのに統計を用いるのです。一例を挙げると、有害なメールを排除する迷惑メールフィルターでも使われているベイジアンネットワークと呼ぶ推論のモデルを用い、すでに分かっている事象から他の事象の確率を計算する方法があります。既知のデータAとBからCのデータを類推し、さらにDやE、Fのデータを次々と算出していくイメージです。

8項目の質問からビッグデータを生成して顧客ごとの価値観を把握

――分かりやすい具体的な事例はありますか。

後迫 当社のマーケティング支援サービス「iNSIGHTBOX」を構成する顧客の価値観の分類機能「Societas(ソシエタス)」を例に説明します。

 ソシエタスでは100種類の要素に基づいて顧客の価値観を判断します。ただし、100種類の質問を顧客に回答してもらうのは現実的ではないので、「嬉しいと思うこと」「腹立たしいと思うこと」など8項目しか顧客に質問しません。

 「嬉しいと思うこと」なら「好きな服を着る」や「料理がおいしくできた」といった7個の選択肢、「腹立たしいと思うこと」なら「性格など内面をけなされる」や「公共の場にマナーが悪い人がいる」を含む10個の選択肢から該当するものを選んでもらうだけ。その結果から全100種類の要素が当てはまる確率を一つひとつ自動で算出し、顧客一人ひとりの価値観を導き出します。

谷井 現実に手元にあるデータ量が少なくても、顧客の価値観を可視化できるので、色々なシーンで使われています。例えば、展示会場でタブレットを使った8項目の簡単なアンケートを実施し、来場者が潜在的な優良顧客かどうかをその場で判断するのに使われています。店舗や展示会など顧客と直に接する場所での応用例として、多くの企業の参考になるのではないでしょうか。

――100種類も要素があると、価値観の把握が複雑になり過ぎて、かえって見えにくくなりそうです。 

後迫 最終的には、100種類の要素から「受け身な隠者タイプ」や「家庭的な真面目タイプ」「好奇心旺盛なバランス人間タイプ」「社交的な堅実ホームメーカータイプ」「好奇心旺盛な人生謳歌タイプ」など、12種類の価値観の強弱を求めます。そうすることで、どのような価値観を最も重要視しているのかを判断できるようにしています。

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