社員の不祥事・トラブルの予防と対策

病気で遅刻や欠勤を繰り返す社員への対応は? 本間邦弘氏

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2.就業規則の変更

 就業規則の健康診断の項目に、(1)会社が法令上などから必要と認めた健康診断を受診すること、(2)健康診断の結果を提出すること、(3)会社から指示された場合には健康情報その他に関する同意書を提出することなどを追加しました。

事業主に健康診断の受診を命じる権限があるとした裁判例など

 市立中学校に勤務していた教諭が、校長が職務上の命令として行った結核予防法によるエックス線検査受診命令に従わなかったことにより懲戒されたことは違法であると主張した件で、結核予防法7条1項のみならず労働安全衛生法第66条5項に基づく受診義務があり、校長の職務上の命令は適法であると判断した判例(愛知県教育委員会(減給処分)事件・上告審、 最高裁 H13.4.26、労判804.15)があります。

会社の対策

(1)就業規則への明記

 一例として、「会社が法令及び労働安全配慮義務上必要と認め、社員に指示した健康診断については、これを受診しなければならない。また健康診断の結果については必ず提出するものとし、会社から指示された場合には医療機関等への健康情報その他に関する同意書を提出しなければならない」との記載が考えられます。

(2)法令の遵守や管理等の明確化

 安衛法に定められた健康診断の実施義務や届け出義務などを遵守し、また個人情報保護法に反しないように、健康診断結果の保管や管理、取扱者などを明確にすることが重要であると考えます。

法改正に伴うストレスチェック義務について

 平成26年6月19日に成立した、改正労働安全衛生法(平成26年法律第82号)には、ストレスチェック制度の創設も定められており、これにより平成27年12月までの間に同制度の実施が義務付けられることになります。現時点(平成27年1月1日)においては、制度の詳細は今後策定される厚生労働省令や指針により明確になると思われますが、ストレスチェックの実施は50人以上の事業者(事業所)に義務付けられ、50人未満の事業者は当分の間は努力義務とされています。ストレスチェックを希望しない者には実施ができず、また拒んだことを理由に不利益な取り扱いを禁止するとなっており、具体的な内容や運用、その効果についてはまだ不明であり、今後の情報に注意が必要です。

本間邦弘 著 『ケースで学ぶ 社員の不祥事・トラブルの予防対策』(日本経済新聞出版社、2015年)第3章「健康診断、私疾病、休職、勤務懈怠、退職・解雇」から
本間 邦弘(ほんま くにひろ)
特定社会保険労務士、社会保険労務士、本間事務所所長。社団法人全国労働基準関係団体連合会でモデル就業規則検討委員会など各種委員を歴任。現在、東京都社会保険労務士会理事、同業務推進委員長。都立荏原看護専門学校非常勤講師。中小企業振興公社、商工会、法人会などで労務トラブルを中心に多くのセミナー講師を務める。弁護士や税理士などとの人脈を生かし、問題を総合的に解決するためのアドバイスを得意とする。

キーワード:経営、企画、経営層、管理職、プレーヤー、経理、人事、人材、研修

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