経営の失敗学-ビジネスの成功確率を上げる

地雷を排除しすぎて「勝てない」戦略に 菅野寛氏

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 第2回の『経営の失敗パターンは大きく3つある』で説明したように、ビジネスにおいては「こうやれば必ず成功する」という必勝法(成功の十分条件)は存在しません。ところが、「これをやってしまうと間違いなく失敗する」という、踏んではいけない地雷(言い換えれば、成功するために最低限これは押さえていないといけないという成功の必要条件)は存在します。

 この「地雷」は、多くの場合共通したパターンがあり、ある程度チェックリストに整理することができます。ビジネスを立案する上で陥りがちな罠(あるいは踏んではいけない地雷)を示した図を再掲します。

 このリストから分かるように、一つひとつの地雷は当たり前のことです。ところが、この当たり前のことがなぜかできていない企業があまりにも多く、そのせいで自ら地雷を踏んで自滅していきます。したがって「当たり前だ」と馬鹿にしないで、地道に地雷排除を行えば、それだけで少なくとも失敗しない事業プランを立案することはできます(かといって成功の保証はないのですが......)。

地雷排除をやりすぎる

 一方、地雷排除をやりすぎると、今度は別の問題が生じます。地雷排除作業をやればやるほど、これもやってはいけない、あれもやってはいけない、という「ダメ出し」になり、すべての「ダメ」を取った後に残った戦略が、全く差別性のない、つまらないものになってしまうことがあります。

 確かに地雷は排除したので「負けない」戦略のはずですが、同時に「勝てない」戦略にもなり得ます。というのは、差別性のない普通の戦略であれば、同質化競争や泥沼の価格競争に陥って、利益が限りなくゼロに近づいていくからです。

 よく「経営とは矛盾のマネジメントである」と言われますが、まさに地雷を排除して角の取れた戦略になることと、戦略を尖らせることの矛盾をマネジメントしなければいけません。地雷を排除した結果、角が取れて丸くなってしまった戦略を、勝つためにもう一度見直して、あえてリスクを取って(もう一度地雷に近づいて)尖らせる必要があるわけです。

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