経営の失敗学-ビジネスの成功確率を上げる

成功は学べない――アパレル3社に見るモデルの違い 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 菅野 寛

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ユニクロの成功モデル――「ベーシック」

 同じくSPAという形態を取っているユニクロは、ZARAとはほぼ正反対の戦略を取っています。「流行に関係なく、また、年齢、性別、国籍、文化に関係なく、多くの人が着たいと思う本当に良い服(ベーシックな服)が存在する」という前提に立って、流行を追わない戦略を立てています。ユニクロはこれを「MADE FOR ALL」と表現しています。

 ユニクロでも、やはり好循環のロジックが回っています。それは、流行に左右されず、誰もが着ることのできるベーシックな服なので、安定して大量に売れるのです。それも、通常のアパレルであれば数百枚、数千枚のレベルに対して、数百万枚、数千万枚というほど桁違いに多いのです。フリースは2000年には2600万枚、ヒートテックは2008年に2800万枚を売っています。

 安定的に量がはけるので、低コストで作ることができる。また、流行のあるものに比べて売りが安定しており、アパレル業界の頭痛の種である売れ残りや品切れが少ないため、無駄なコストも出ない。このため、ますます低価格で商品を提供できる。そして、低価格なので、多くの人にとって買いやすい。したがって、またまた安定的に大量に売れる、という好循環です。

ユニクロのビジネスモデル

 「本当に良い服」にこだわるユニクロは、かつて「高品質なのにお手頃価格」を実現した日本の自動車メーカーや家電メーカーのいわば洋服バージョンです。したがって手頃な値段だけではなく、品質や性能の良さにもとことんこだわります。大ヒットしたヒートテックのように、何年もかけて繊維メーカーと共同で、素材そのものの機能性向上に投資するくらいに徹底しています。これは、短期の流行を追い求めるZARAでは、まずあり得ない戦略でしょう。

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