藤元健太郎の「CMO戦略企画室」

静かに広まる「人工知能」、新段階の自動化と商機に期待 D4DR 藤元健太郎氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 そこで今、「マーケティングオートメーション」が注目されている。マーケティング業務に含まれる比較的単純な作業をなるべく自動的することで、人間の作業を減らすアプローチである。顧客データを分析して顧客を自動的に分類し、メール配信ソフトに顧客データを流し込み、キャンペーンメールなどを配信、そのレスポンスを測定する――という業務の流れを一気通貫で実行するツールが増えている。

 そうしたサービス企業の1つ「カスタマーリングス」というツールを展開するプラスアルファ・コンサルティングの鈴村賢治取締役は「カスタマーリングスの導入により、バラバラに管理している顧客データや購買履歴データなどの抽出やひも付け、集計といった単純作業に苦労していた健康・化粧品通販会社では、月次の分析レポートを出す時間が、毎月のべ7日から4時間へと92%の削減に成功した」と語る。このような事例からも、いかにこれまでのデジタルマーケティング担当者が生産性の低い作業に時間を費やしていたのかがよくわかる。

 人工知能の活用などでマーケティングオートメーションはますます進化し、顧客一人ひとりと、よりきめ細かなコミュニケーションを行うことも可能になるだろう。マーケッターの仕事は、「起きている事象から仮説をしっかりと構築し、データに基づいてそれを検証し、施策の内容や投下コストを判断するといった付加価値が高く、企業文化などを踏まえた判断を行う」という知的作業にますますシフトしていくはずだ。

 そして顧客側もSENSYのセンスデータのように、自分の趣味嗜好データや行動データを「メリットが大きく、信頼・共感できる企業」に優先的に提供していくことになるだろう。その相手の企業は、SENSYのような顧客側に立った専門プラットフォームかもしれないし、アマゾンのような巨大プラットフォームかもしれない。

 想像力を逞しくすれば、「顧客が信頼する人工知能エージェントがネット通販サイトを渡り歩き、自動で買い物の提案をしてくれる」という顧客側まで含めたマーケティングオートメーションの到来も十分可能性がある。加えて、ネット上で無数の顧客や企業のエージェント同士が交渉して価格が決まる時代がくるかもしれない。そうなるとすれば、未来のバーゲンセールの勝負どころは、顧客が徹夜で並ぶことではなく優秀な人工知能エージェントを使いこなすことにシフトするのだろう。

藤元健太郎 (ふじもと けんたろう)
 ディー・フォー・ディー・アール(D4DR)代表取締役社長。野村総合研究所、フロントライン・ドット・ジェーピーを経て現職。ネット販売やマーケティングなどのコンサルティング、調査研究などに従事。日経MJの「奔流eビジネス」でコラムを執筆中。

キーワード:経営層、管理職、マーケティング、営業、経営、イノベーション、IoT、AI

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。