藤元健太郎の「CMO戦略企画室」

静かに広まる「人工知能」、新段階の自動化と商機に期待 D4DR 藤元健太郎氏

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「センス」にもとづく新しいリコメンドに商機拡大の期待

 ユニークなのは、モデルやスタイリストなど、自分が気に入っている人のファッションセンスを借りて服を選べること。「このモデルさんのセンスだとこんな服を選びますよ」と提案してくれるのだ。

 ユーザーにとってメリットがあるのはもちろんだが、モデルやスタイリストにとってもビジネスチャンスになる。「ファッションセンス」という知的財産を有料化し、そこから手数料を稼ぐ新しいビジネスモデルが描かれている。

 このように「自分のセンスを学習させる」「ほかの人のセンスを借りる」という機能を活用することで、今までとは全く違うおすすめができるようになる。従来の「よく売れている」というランキング形式のリコメンドや、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といったアマゾン型のリコメンドではなく、顧客一人ひとりの好みに合わせたきめ細かなリコメンドが可能になる。それはECサイトでも活用できるし、店頭でもサイネージや店員のタブレット端末などで活用できる。

 この新しいリコメンドの機能は、ユーザーが知らなかったブランドとの出会いを生む可能性を秘めている。やや停滞感のある女性向けのアパレルブランドからの期待は大きいようで、現在2400のブランドが参加している。

 カラフル・ボードの渡辺祐樹社長は「SENSYが集めたデータには価格への反応度なども含まれていて、アパレル業界の課題であるセールの考え方も大きく変わるかもしれない。顧客ニーズを機械学習から想定し、商品開発、生産計画、販売すべてにおいて人工知能を活用できる状況がきている。まさにマーケティングオートメーションの時代だ」と語る。今後はファッションだけでなく、食べ物や音楽など、センスが重要な分野に活用を広げていく構想だ。SENSYは前述したWatsonとの提携も発表した。さらに強力な人工知能を手に入れることで、どんなサービスが提供されるのか楽しみだ。

マーケティングオートメーションのさらなる進化へ

 デジタルコミュニケーションの多様化と普及により、マーケティングで実施できる方策の選択肢は非常に増えた。しかし、「顧客を分析し、セグメント化し、ターゲティングした上でマーケティング施策を実施し、成果を測定する」という一連のプロセスをしっかりやろうとすると、その仕事量は膨大になる。その結果、「データは取れているのにだれも活用していない」という状況が多くの企業でみられる。これまでのように、代理店にすべて任せられて、成果も定量的に測定する必要がなかったアナログのマスマーケティングの時代のほうが、マーケッターとしては楽だっただろう。

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