藤元健太郎の「CMO戦略企画室」

「マーケティング上手な社長」の人気は"時代の必然" D4DR 藤元健太郎氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 このところ、日本企業も外部から社長を迎えるケースが増えている。特に気になっているのは、日本マクドナルドホールディングスの会長であり、6月にベネッセホールディングス会長兼社長になった原田泳幸氏、そして日本コカ・コーラの元会長で、この4月に資生堂の社長に就任した魚谷雅彦氏(資生堂のマーケティング統括顧問から昇格)である。

 ようやく日本も、社長という仕事を「プロの経営者」に任せるようになってきたのだ、と感心しつつ、「2人ともマーケティングが上手な方々だな」という点に"時代の必然"を感じる。

 原田氏は日本のアップルコンピュータのマーケティング本部長時代に手腕を買われて米国本社のマーケティング担当副社長になった。その後、日本のアップルコンピュータの社長を経て日本マクドナルドの社長にヘッドハントされるという"業種を越えたマーケティングのプロ"として活躍してきた。魚谷氏はライオンからスタートし、グローバルでマーケティングに最も注力する企業の筆頭であるコカ・コーラで日本発の独自ヒット商品をいくつも生み出し、NTTドコモのマーケティング改善も手掛けてきた"日本有数のマーケッター"である。

 誤解を恐れずに言えば、これまで日本企業にとってマーケティングはさほど重要とされてこなかったのではないか。なぜなら、「技術が優れた商品を最高の品質で市場に提供する」ことが日本企業の競争力であり、良い商品を生み出すための技術開発、品質の良いものを製造する工場、その商品を販売網にのせて売りさばく営業、それらを確実に実現する財務と労務。これらが経営の重要な要素であり、経営トップも上記の部門から出世するのが常であった。

 しかし、市場は大きく変わった。製造の品質はグローバルにフラット化し、差が小さくなった。商品開発は、技術やスペックよりも、細かい市場ニーズをくみ上げ、タイミングよく投入することの方が重要になり、さらにはブランド力やサービス性を高める方が価値としても高くなった。

 このような状況では、「人々に"商品を買う理由"をメッセージとして発信し、自分のコトであると認識してもらうコミュニケーション」がますます重要になる。まさにマーケティング力が経営の中核的課題となってきたのだ。原田氏や魚谷氏のトップ人事に"時代の必然"を感じるのも、遅ればせながら日本にもそうした潮流が強くなってきたからだ。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。