激震 原油安経済

中国・世界経済の減速が招いた原油暴落 みずほ総合研究所

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 改めて認識すべき点は、資源価格動向は新興国、なかでも中国の需要拡大に大きな影響を受けていたことにある。しかも、中国の場合、エネルギー効率が低いことで、一層のエネルギー消費(がぶ飲み状況)を行ったことが価格の高騰につながっていた。原油価格が2008年後半に史上最高値、147ドル/バレルを付けたのも中国を中心とした新興国の需要拡大を背景にした投機的需要による面が大きかった。

 史上最高値であった147ドルは前回の『近づいていた「世界大恐慌の足音」』で触れた映画『2012』(※)でみられたような、中国を中心とした拡張期待のクライマックスと一致したと言っていい。しかも、欧米も財政を拡大することによって景気の底割れを防ごうとしていた。

(※)ハリウッド映画で世界的にヒットした『2012』(2009年、ソニー・ピクチャーズエンターテインメント)では、世界の滅亡を中国から出る船が救うかのような結末になっていた。中国の存在は世界大恐慌に陥る状況から世界を救った「ノアの方舟」のようなものだった。

 しかし、その後世界的に生じた「長期停滞論」、さらに中国も含めた新興国経済の息切れ、欧米の財政政策のサポートの転換も生じたことで世界的な原油への需要期待は大きく落ち込んだ。以上の環境変化が続いた結果、原油価格は2014年12月、WTIで60ドル割れ水準まで一気に低下した。

 以下の図は原油価格と銅相場の推移を示したものだ。銅と原油相場は2011年までは連動した動きを示していたが、11年以降、両者には乖離が生じていた。銅相場は中国の景気減速と連動してすでに低下傾向が続いていたが、原油相場は地政学的な不安などもあって高止まりした状態が続いていた。

<FONTBOLD />原油価格と銅相場推移</FONTBOLD></p><p>(資料) Bloomberg

原油価格と銅相場推移

(資料) Bloomberg

 本来、中国を中心とした世界的需要不足、設備投資停滞の中で資源価格全般に低下圧力がかかってもよかった中、原油価格は地政学的要因で高止まりした状況にあった。しかし、その後も景気減速傾向が続き、さらに2014年前半に世界的に低成長への不安意識が強まったことで、これまで原油価格を高止まりさせてきたつっかえ棒が外れ、一転して大幅調整に陥ったと考えれば理解しやすい。

 依然として米国シェール・オイルの原油の生産調整には時間がかかることも勘案すれば、さらにオーバーシュートして下落する可能性も否定できない。

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