激震 原油安経済

通貨戦争と「金利水没」のニューアブノーマル みずほ総合研究所

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 世界的なバランスシート調整(※)、すなわち先進国の調整に加えて、新興国の調整も加わった中で生じた需要減少が原油暴落の背景にある。しかも、そうした需要不足にもかかわらず、各国の政策対応として財政政策が封印され、金融政策だけが目立つ状況にある。その結果として生じた金融面の副作用が「世界金利水没」だ。

(※)バブル崩壊などにより資産価値が大幅に下落したとき、企業や家計がバランスシートの負債を圧縮したり収益性を改善したりするために投資・支出を抑制すること。

 今日の金融環境は、大恐慌以来の金融危機とされた状態からの正常化である。ただし、その正常化は従来とは異なる「ニューノーマル」とされてきたが、今日、実際に目の当たりにする金融環境は金利が「水没」するほどの異常な状況、まさに「ニューアブノーマル」とも言えるほどの環境にある。

世界的な金利水没競争は世界的な通貨戦争の側面も

 2015年2月10日に開催された、イスタンブールでのG20財務大臣・中央銀行総裁会議は、連鎖的な金融緩和の引き金となったECBの量的緩和(QE)を正当化した。すなわち、各国中銀は各国固有の金融政策への法的使命(マンデート)を盾に自国通貨安を誘導するお墨付きをもらったようなものだ。

 ここで、G20声明に背中を押されたような格好になったのが、スウェーデン中央銀行(Sveriges Riksbank)である。ECBのQEがもたらす自国通貨高への脅威から2月12日にスウェーデン中銀はマイナス金利政策とQEに踏み切った。為替相場を通じた近隣諸国への影響が大きく、連鎖的な金融緩和の引き金になりうるECBの量的緩和に対してG20で「歓迎する」(welcome)という表現が用いられることで、金融緩和を支持する姿勢をより鮮明にしたことは注目される。

 そこでは、為替相場を明示的なターゲットにしない限り、各国で相次ぐ金融緩和は望ましいことになる。すなわち、各国中銀がマンデートを果たすためにとる金融政策に対し、より支持する姿勢が鮮明にされたと評価される。

関連情報

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。