激震 原油安経済

近づいていた「世界大恐慌の足音」 みずほ総合研究所

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原油価格暴落の背景には、日米欧同時バランスシート調整という大恐慌以来の事態に加え、中国を筆頭とした新興国の調整がある。米国を先頭に先進国は調整から脱しつつあるが、その後遺症として金融緩和への過度な依存と世界的「金利水没」が残った。日本は金融緩和に伴う異例な低金利の麻酔状態と「トリプルメリット」(円安、財政支援、原油安)を活かすことで、1990年代以来の長期停滞から脱出する外科手術を成功できるかが問われる。一方、世界は原油価格暴落と金利水没からの出口を見つけていない。

日本を取り巻くニューアブノーマル

 2012年、今から3年前、筆者の一人である高田は、『20XX年世界大恐慌の足音』(高田創著、東洋経済新報社)という著作を発表している。そこでの基本認識は、日米欧先進国が同時にバランスシート調整(※)に陥ることによってかつてない経済減速が生じて、それは1930年代の大恐慌に匹敵するとの問題意識だった。

(※)バブル崩壊などにより資産価値が大幅に下落したとき、企業や家計がバランスシートの負債を圧縮したり収益性を改善したりするために投資・支出を抑制すること。

 日本は言うまでもなく1990年以降、バブル崩壊に伴うバランスシート調整で未曽有の停滞から抜け出せないままにあった。欧米も2007年以降のサブプライム問題、翌年2008年のリーマンショックを端緒にしたかつてないバランスシート調整にあった。

 その調整規模は、「100年に一度」とされることもあったが、少なくとも戦後最大の経済危機であった。2007年以降、日米欧が同時に深刻なバランスシート調整に陥り、1930年代の世界大恐慌以来の経済危機が生じた。2012年はそうした不安がより高まったクライマックスの局面だった。

 日米欧の先進国がそろって未曽有のバランスシート調整に陥るような状況になれば、「世界大恐慌」の再来が生じてもおかしくなかった。しかし、2012年以降過去3年を振り返り、現実には世界大恐慌とされるまでの危機にはならなかったのはなぜだろうか。

 その要因の1つは、2013年以降、米国の調整が少しずつ回復に向かったことにある。米国が回復に向かったことによって、ドル安圧力が転換し、日本もアベノミクスを中心とした回復のきっかけをつかんだ。加えて、日米欧以外の地域の景気拡大が日米欧の先進国の調整を救った面も大きかった。

 ただし、今日、本当に大恐慌再来不安は過去のものとなったと言い切っていいのだろうか、本連載の問題意識もここにある。確かに、ここまで大恐慌の再来にはならなかったが、今日もバランスシート調整の後遺症は根強く残っているのではないか。以下で議論する原油価格の暴落と世界の「金利水没」はその後遺症の根深さを示すものではないだろうか。

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