起業で本当に成功するために大切なこと

一番苦しい3年を乗り越える「5カ条」 メガチップス会長 進藤 晶弘氏

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 50歳を目前に、私は大企業をやめて起業することを決心しました。安定を捨ててでも、どうしても自分の手でやってみたい、実現したい事業があったからです。起業家に必要な資質や、大企業に勝つための戦略、次のリーダーを育てるために必要なことなど、実体験から生まれた具体的な知恵を述べていきます。私自身が全身全霊を傾けて生みだした「起業の教科書」です。

私が「受託生産」を選んだ理由

 起業家にとって、創業から3年目までが一番苦しい期間です。この期間は生き残り努力を重ねるしかありません。信用力の乏しいベンチャーにとって、最も危険なことは資金不足に陥ることです。往々にして、自前で用意した資本金だけでは足りなくなります。当然、銀行やベンチャーキャピタルから調達することになりますが、運良く資金の都合がついても、注文がなければ会社は始まりません。注文からキャッシュフローを生み出せてこそ、初めて会社が存続でき、自立できるのです。

 しかし、注文を得るのは何よりも難しいことです。そもそも、予定していた時期、予想していた客に売れるという保証はありません。往々にして、期待と現実は乖離するので、どのように優れた製品でも売れるとは限らず、仕様変更を迫られるケースもあります。

 言ってみれば、会社を生かすのも殺すのも顧客次第なのです。

 だから、起業家は、事業が立ち上がるまでの期間が想定以上にかかるものとわきまえ、寸暇を惜しんで注文獲得に奔走すべきです。

 私が起業したメガチップスの場合、あえて「受託開発」からスタートすることにしました。顧客の注文を受けてから仕事にかかることができますし、何よりも確実に売れます。一方で手間がかかるため、開発が遅れるというリスクはありますが、それは自己責任の範囲で解決できると考えました。

 そして、契約すると着手金が手に入り、中間報告時点や開発完了時の節目ごとに収入が見込めます。「その収入を超える資金は絶対に使わない」と決めることで、資金不足に陥らずにすんだのです。

 また、ヒトやモノなどの経営資源を本業以外には一切使わないように注意しました。さらに資金を寝かせること(資金の固定化)を避けるため、固定資産への投資は慎重すぎるほど慎重に考えました。社員は少数精鋭に徹し、すべての従業員が同じ部屋を使うなど、オフィス費用まで浮かせました。そのかいあって、行動スピードが上がり、運命共同体の意識も高まって協働関係も強くなったのです。

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