これだけは知っておきたい マイナンバーの実務

捨てようにも捨てられない個人情報 野村総合研究所 未来創発センター 制度戦略研究室長 梅屋真一郎

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 2016年1月から制度がスタートするマイナンバー制度。導入する時点ではさまざまな負担を企業や従業員に強いることになります。しかし、それらを乗り越えることで、マイナンバーは私たちの暮らしをとても便利にしてくれる道具になると、筆者は確信しています。企業が対応するために必要な実務知識を、連載で具体的に解説します。

情報の廃棄には特に注意

 マイナンバーと、従来からある個人情報管理のガイドラインとの比較で特に注意すべき点は何でしょうか。

 個々の安全管理措置の内容や深さは異なるものの、基本的には従来からある個人情報保護のガイドラインから見た大きな違いは実は少ないのです。これは、すでにお話ししたように、そもそも番号法が個人情報保護法の特別法として制定されていることによります。そのため、基本的な考え方は踏襲されているといえます。

 ただし、以下の2点に関しては、従来からある個人情報保護とは大きく異なるといえます。

(1)特定個人情報を取り扱う事務を行う際を特定する「取扱区域」の概念
(2)不要になった特定個人情報の廃棄の概念

 なお、特定個人情報は番号法に特段の規定がなくても、番号法29条および30条により適用除外となる部分を除き、個人情報保護法の規定の適用を受けます。

 たとえば、本人からの特定個人情報の開示請求があった場合、番号法では開示に関する特段の規定はないのですが、個人情報保護法においては25条で開示に関する規定がされていることから、特定個人情報に関しても開示請求があった場合には、本人に特定個人情報を提供することが可能となります。

企業にとっての大きな課題

 先ほど取り上げた特定個人情報の保護が従来と異なる2点のうち、(2)の「不要になった特定個人情報の廃棄」が企業にとって大きな課題となります。

 それでは、この情報の廃棄というのは、どのようなことを指すのでしょうか。

 マイナンバーに関わるさまざまな制約の1つに、「目的外の保管の禁止」があるとすでにお話ししました。これは、保管してはいけない特定個人情報を保管することを禁止したものです。たとえば、本来受け取るべきでないマイナンバーの情報を受け取り、保管することがこれに当たります。

 同様に、すでに保管している特定個人情報に関しても、その保管の必要がなくなってからは、業務上わざわざ保管を行う必要がなくなったと見なして、それ以降の保管が禁止されるのです。

 つまり、「いらなくなった情報は捨てなければならない」のです。

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