2020年の「勝ち組」自動車メーカー

トヨタの競争力に必要な「新設計プロセス」 ナカニシ自動車産業リサーチ 中西孝樹 氏

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開発プロセスの勝利者は誰か

 トヨタとは大きくアプローチが違うのが、日産の新設計プロセス「コモン・モジュール・ファミリー(CMF)」である。車両を4つの物理的なビッグモジュールの領域に分け、これらの組み合わせを前もって決定して数多くのモデルを開発する。「CMF-C/D」「CMF-A」「CMF-B」と大きく3つのCMFがある。ビッグモジュールの組み合わせパターンを最小限に絞り込み、最大限味つけの違う車両開発をできるか否かが、CMFの本領ということになる。

 従来のプラットホームでは40%の部品しか共有できなかったが、CMFでは80%まで共通化する領域を拡大できるという。日産はCMF-C/Dで12モデルを派生させ、全体で160万台の生産規模に拡大する計画である。2016年には、CMF-Aをベースにする「redi-GO」コンセプトをインドに展開する計画だ。2017年には「マーチ」「ノート」の後継モデルをCMF-Bのモジュールをベースに開発を進める。日産の計画に基づけば、2018年までに70%近くの車両がCMFモジュールの開発プロセスを基に設計されるという。

 一方、ホンダは、新設計概念をあえて外部に向けて説明していない。しかし、モジュール設計を取り入れていくことは時代の潮流として当然であろう。ホンダは従来から商品と技術がある程度集約化されており、トヨタのような複雑さの問題は比較的なく効率も高い。それでも大手との競争と安全装備といった要求を満たすには、さらなる効率を追及していかなければならない。

 ホンダには3つの取り組みがあると考える。第1に、プラットホーム単位の生産量を引き上げるための商品のシリーズ化だ。第2に、プラットホームのグローバル化。第3に、「シビック」のCセグメントと「アコード」のDセグメントの2つのプラットホームの同一体質化を進め、部品の共通化率を高めることだ。特別な名前をつけているわけではないが、基本的なアプローチはTNGAと同質であると考えられる。標準化に対応し、一定のモジュール構造を持った設計プロセスの進化への取り組みと考えていいだろう。

 ここまで説明をした通り、各社の新設計プロセスに対するアプローチにはかなりの差異がある。例えば、モジュール設計単位の大きさは、日産→VW→トヨタと微細化する。一方、BセグメントからDセグメントまでをモジュラーキットで設計するVWのMQBにはプラットホームの概念が大幅に後退している。

 トヨタ、ホンダは従来のプラットホームの概念が進化していると考えられる。各社で共通している考え方は、クルマの設計構造を、可変部分と固定部分に再定義し、固定部分の構造をモジュール設計として標準化を進め、かつ部品の共通化を狙うことだ。

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