2020年の「勝ち組」自動車メーカー

トヨタの競争力に必要な「新設計プロセス」 ナカニシ自動車産業リサーチ 中西孝樹 氏

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 この解決を目指し、欧州メーカーが主導して、2000年代を境にプラットホームは新たな進化過程に入った。まったく新しいアーキテクチャに成り立ったモジュールを設計するという考えだ。クルマを可変部分と固定部分に分けた上で、固定部分のプラットホームを部品内蔵物も含めてショートケーキのように切り分ける。この1つの単位をモジュールとして互換性の高いモジュール群を設計し、これらを組み合わせて1台のクルマをつくり上げていくというプロセスだ。

 誤解を恐れずに表現すれば、レゴブロックのようなモジュールを組み合わせて、変種(バリエーション)を持った多種車両を設計する概念である。

「擦り合わせ」は競争力を失った

 クルマの付加価値の70%は自動車メーカーではなく、部品メーカーが生産し供給している。したがって、クルマのコスト競争力は、設計段階でどのような部品を組み込んでいくかでほぼ勝負が決まる。

 部品メーカーの産業構造は、頂点に立つ自動車メーカーと、比較的緩い資本関係を持った1次サプライヤー、小規模で労働集約的な2次・3次のサプライヤーがピラミッドを形成した形で垂直統合されている。

 この1次サプライヤーが自動車メーカーと綿密に擦り合わせる設計プロセスが、高品質、低コストの部品設計を生み出す。そして、トヨタ生産方式を支える優秀で勤勉な2次・3次のサプライヤーが、良質な部材や半製品をジャスト・イン・タイムで供給してきた。このエコサイクルが国内自動車産業の国際競争力の源泉であった。

 しかし、1次サプライヤーが自動車メーカーと綿密に擦り合わせる設計プロセスは、インターフェースが閉鎖的でガラパゴス化に陥りやすい。コスト面の競争力が悪化するという問題だけでなく、世界の流れから孤立するリスクがある。クルマの「走る」「曲がる」「止まる」の機能で、エレクトロニクス化、IT化されてソフトウエアの存在感が大きくなるにつれて、メカニカルな擦り合わせよりも、システムを組み合わせていく重要性が高まっていく。

 結果として、国内部品産業の国際競争力が減衰を始め、欧米の大手サプライヤーやエレクトロニクスに強みを持つ新規参入企業の競争力が増しているのである。アーキテクチャが閉鎖的だと、こういった台頭してきたサプライヤーの強みを設計に取り入れていくことが困難になっていく。

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