2020年の「勝ち組」自動車メーカー

クルマの「自動運転」を巡り、熱い議論 ナカニシ自動車産業リサーチ 中西孝樹 氏

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 クルマをクラウドとつなぎ、周りの不特定多数のクルマからデータを収集してビッグデータ化した上で、人工知能を導入して分析・判断していくプロセスである。非常に高度なICTシステムを構築する必要があり、もはや自動車メーカーの能力を超えている。米国のグーグルのような巨大IT会社がこういった技術を牛耳る時代が訪れるシナリオは、可能性として否定するものではない。

 技術的にここまで来ると、正直どうなるのかはよくはわからない。ただ、大きな技術革新があるだろうとは予感できる。それでも、グーグルのようなIT企業にソフトウエアが完全支配され、自動車がコモディティ化してしまうという単純な図式はイメージしづらい。

 個人的には、自動車メーカー・システムサプライヤーとIT企業が協調する仕組みが、まずは2025年から2030年にかけて形成されていくと考えている。グーグルに主導権を奪われ、ハードメーカーとしての自動車メーカーが従属的な立場に追い込まれないような能力構築を、クルマメーカーは当然怠ってはいけないだろう。

 自動運転のアプリケーションの時期とロードマップも考えていくことが必要だ。自動車専用道路(高速道路など)と一般道路、駐車場などの閉ざされた空間、過疎地域といった交通手段が限定的な地域、一般市街地などにおいて、自動運転が普及する時期は大きく異なると考える方が自然である。高速道路に限定された完全自動運転と、どこでも走れるという完全自動運転は、技術的にまったく違うレベルだと考えるべきだ。

中西孝樹 著『成長力を採点! 2020年の「勝ち組」自動車メーカー』(日本経済新聞出版社、2015年)「第2章 要素技術はどう変わるか」から
中西 孝樹(なかにし たかき)
(株)ナカニシ自動車産業リサーチ代表。1994年以来、一貫して自動車業界の調査を担当し、日経金融新聞・日経ヴェリタス人気アナリストランキング自動車・自動車部品部門、米国Institutional Investor誌自動車部門ともに2004-2009年まで6年連続1位と不動の地位を保った。2011年にセルサイド(証券会社)復帰後、日経ヴェリタス人気アナリストランキング、Institutional Investor誌ともに自動車部門で2013年に第1位。1986年オレゴン大学卒。山一證券、メリルリンチ日本証券などを経て、2006年からJPモルガン証券東京支店株式調査部長、2009年からアライアンス・バーンスタインのグロース株式調査部長に就任。2011年にアジアパシフィックの自動車調査統括責任者としてメリルリンチ日本証券に復帰。2013年に独立し、ナカニシ自動車産業リサーチを設立。著書に『トヨタ対VW 2020年の覇者をめざす最強企業』、日経文庫業界研究シリーズ『自動車』などがある。

キーワード:経営層、経営、技術、ものづくり、グローバル化、イノベーション、国際情勢、M&A

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