2020年の「勝ち組」自動車メーカー

クルマの「自動運転」を巡り、熱い議論 ナカニシ自動車産業リサーチ 中西孝樹 氏

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2020年までにADASの時代が来る

 こういった運転支援の関連機器市場は、2012年には1000億円程度に過ぎなかった。しかし、2020年には世界販売1億台の車両の40%に何らかの安全装置が装着され、市場規模は1兆2000億円に拡大すると予想される。この市場がカバーする領域を高度運転支援システム(ADAS)と呼ぶ。

 ADASの時代はもうすぐそこに来ている。2020年までには、ABSやエアバッグのような当たり前の存在として、クルマに装着される時代を迎えることがもはやコンセンサスになってきた。トヨタは「トヨタ・セーフティ・センス」と銘打った2種類の運転支援システムを開発済みで、2017年には先進国のほぼすべての車両にオプション設定する方向だ。

 ただ、エアバッグのような標準装備となるタイミングがいつ来るかは、未知数な部分が残る。製造物責任の賠償リスクや、システムの信頼度、社会的な受容度、法的解釈などの課題を自動車メーカーは慎重に見極めているところだ。

 ADASを飛躍的に進化させるのが情報通信技術(ICT)である。従来のICTは、ETC(電子料金収受システム)のような専用機器を介した路車間通信を活用するインフラ協調型が中心となっていた。このインフラ協調型は、整備負担が重く、各国の独自性も障害となるため、特定の領域以外には普及が鈍かった。

 ところが、高速通信規格であるLTE(ロング・ターム・エボリューション)とスマートフォンの普及が進んだことで、クルマがネットワークを通じて社会インフラとつながり情報交換できる時代となった。クルマがクラウド環境につながる機能を持つことで、安全確保と新たな効率軸の可能性が広がってきたのだ。この技術の延長線にあるのが自動運転車なのである。

 ただし、自動運転車は様々な定義に基づく概念が独り歩きし、誤解を生じている感が否めない。駅に無人自動運転車が迎えに来てくれて自宅まで送り届けてくれるような交通社会が、突然訪れるという発想は危険だろう。

 インターネット・ガジェット(ITを駆使した多機能な小物機器)のような飛躍的な変化が、クルマの世界で実現することは難しい。革命的に変わりたいとクルマが自ら望んでも、簡単に進化できない様々な制約を宿命的に背負っているからである。そもそも、各国で自動運転の定義はいまだ固まっておらず、自動車メーカー各社の目標も様々である。法整備や社会的なコンセンサス形成にも、国によって大きな差異がある。

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