2020年の「勝ち組」自動車メーカー

クルマの「自動運転」を巡り、熱い議論 ナカニシ自動車産業リサーチ 中西孝樹 氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

自動車の安全を支配するアセスメント

 メディアにあふれる自動運転車のストーリーは、未来図の話に飛躍しがちで、なぜ安全技術が進化を必要とするのかという大切な理由を見落としがちだ。「交通事故死傷者ゼロ」はモビリティ社会の究極の願いであり、人とクルマが共生していく環境を持続可能なものへと引き上げようとする思いが、この技術革新の根本にある。先進国では交通事故による死亡者数は確実に減少しているが、普及が加速度的に進む新興国での交通事故死亡者数が著しく増加している。

 世界保健機関(WHO)に基づけば、2010年の世界の交通事故死亡者数は124万人に達した。何の対策も講じない成り行きシナリオでは、世界の死亡者数は2030年に240万人に達するとWHOは警告する。この問題に対し、国連は交通安全対策を立ち上げており、2020年の成り行きシナリオに対して死者を半減させる目標を掲げる。

 この国連の方針に沿って、各国で法規制の強化が続く。法規制以上に早い変化を遂げているのが、予防・衝突安全でのクルマの安全性をわかりやすく示し、安全なクルマ購入を促進させる目的の「自動車アセスメント(NCAP)」の基準化である。これが安全装置の世界的な普及を押し進める原動力になっているのだ。

 環境問題と同じように、安全問題でも国際的なリーダシップを発揮してきたのが欧州陣営である。Euro NCAPは、2014年に衝突回避支援ブレーキ(AEB)を早期導入し、2016年には歩行者に対するAEBの導入を進める。規制強化で世界に先行し、技術革新と産業転換をより速く実現し、国際競争力の優位性を見出そうとする欧州勢の戦略性が強く表れている。

 日本のJNCAPもこれに追随する。人口減少と高齢化という社会問題を抱える日本にとっては、高齢者を交通事故から守るだけに留まらず、運転支援を強化することは、高齢化社会の中で運転人口を確保する大切な施策となる。

主要地域の自動車アセスメント(NCAP)導入計画 AEBS:自動ブレーキ(トラック)  AEB:自動ブレーキ(トラック以外)  LDP:車線逸脱防止  LDW:車線逸脱警報  FCW:前方衝突警報  CIB:自動ブレーキ(NHTSA)  LKA:車線維持支援  BSM:死角支援  DSM:ドライバモニタ  AFS:前方灯火支援  SAS:制御車速支援  出所:ナカニシ自動車産業リサーチ

主要地域の自動車アセスメント(NCAP)導入計画

AEBS:自動ブレーキ(トラック)  AEB:自動ブレーキ(トラック以外)  LDP:車線逸脱防止  LDW:車線逸脱警報  FCW:前方衝突警報  CIB:自動ブレーキ(NHTSA)  LKA:車線維持支援  BSM:死角支援  DSM:ドライバモニタ  AFS:前方灯火支援  SAS:制御車速支援  出所:ナカニシ自動車産業リサーチ

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。