2020年の「勝ち組」自動車メーカー

日本車メーカー「擦り合わせ型」の弱点が露呈 ナカニシ自動車産業リサーチ 中西孝樹 氏

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 例えば、内燃機関やトランスミッションの進化では、日本車メーカーは世界を驚かせる技術革新を提案できる底力を持っていると思われる。電気自動車や燃料電池車は、劇的な変化を読み込んでも、2050年で世界販売の半分がせいぜいとの予測が主流である。内燃機関の時代が延長されることは、日本車メーカーが競争力を持続できる環境が続くこととほぼ同じ意味である。

より重要なのは「深層の競争力」

 表面化している財務的な数値を見れば、国内の自動車産業が強靱な国際競争力を有するかのように見える。しかし、このような財務パフォーマンスは変動が激しく、将来の一段の発展を担保できるものではない。この国内自動車各社の復活劇の背景を追い、中期的な外部環境のロードマップを示した上で、この復活が本物か否かを2020年目線でアナリスト的な判断を下すのが本連載(本書)の最大の目的である。

 国内8大自動車メーカーの競争力を採点し、2020年度を見通した今回の長期的な収益予測に基づけば、結論として、国内の自動車産業は非常に長期間にわたり、財務的な高パフォーマンスを享受できることになる。

 これほどの長期間にわたり、ほぼ全社がこの世の春を謳歌(おうか)した時代など記憶にない。不測の事態で大きく予測を外すこともあるだろう。数値を達成しても、先の競争力を担保できない中身が乏しい結果もありえるだろう。決して、楽観すべきではないと感じる。

 顧客に直接訴求できる商品力、性能、価格という表面化している競争力は、短・中期的に企業の競争力を牽引し、収益性という財務的な成果に直結する。極論すれば、収益性などは四半期単位でジェットコースターのように乱高下するものだ。表面化しやすい商品力や技術力は、新車モデルの循環の中で一定の浮き沈みのサイクルを描くものである。すなわち、6年先を見通す本連載の趣旨は、この循環に大きく影響を受けるものであろう。

 ところが、自動車産業の長期的な競争力は、中期的な新車循環で測ることはできない。どんなに素晴らしい技術やデザインを誇る製品を思いついても、それだけでは勝ち残れない。複雑な設計・調達・生産をこなし、コストと品質を維持した上でタイムリーに供給しなければ、絵に描いたもちに過ぎないのだ。

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