飛躍する中小企業、グレートカンパニーへの軌道

どんな中小企業にも「一番になれる市場」が必ずある 船井総合研究所 菅原祥公

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 本連載の第1回『ダメなPDCAに潜む「業績予想の罠」』で、「PDCAマネジメントの[P]=計画が特に大切」という話をしました。今回は、その計画[P]において方向性を決定づける中小企業の戦略について述べたいと思います。

 業種業態によって企業の戦略は様々ですが、どんな中小企業にも共通する基本的な考え方があります。それは「小さな市場でいいから、そこで一番になれ」ということです。実践するにあたって少し勇気が必要かもしれませんが、得られる成果はとてもパワフルです。

中小企業は「お客様の声」を聞いてはいけない?!

 本題に入る前に、中小企業の経営者がつい流されてしまう悪い傾向についての話を聞いてください。悪い傾向とは、安易な「真似」と「不得意な領域での勝負」です。

 意外に思われるかもしれませんが、中小企業の経営者が陥りやすい罠に「お客様の声」があります。「お客様は神様です」とは日本の伝統的経営戦略の1つですが、業績の思わしくない中小企業ほど、この神の声に惑わされて方向感を見失ってしまうケースが多く、コンサルティングの現場でよく目にします。そうなると経営計画はめちゃくちゃになります。

 誤解を恐れずに言うなら、「市場の声は聞くな!」と中小企業経営者の方々に申し上げたい。その理由を今からお話します。

 まず、お客様は単純に2種類に分けられます。自社の商品を利用していただいている既存顧客、そして、自社がターゲットとしている見込み顧客です。シェアの低い企業は、この後者の声に簡単に引っ張られてしまいます。

 特に、ビジネスの最前線にいる営業担当者や販売員の声がくせものです。シェアが小さいという「弱い立場」にある現場の社員たちは、競合企業の顧客の声ばかりを拾い集めてくるからです。

 たとえば、「競合企業のAという商品の評判がいい。売れ行き好調なので、当社でも製造できないか」「競合に比べて価格が高いと言われた。この商品を値下げするか、廉価版をつくれないか」などです。お客様の声は錦の御旗。現場最前線の社員はその声を前面に打ち出してくるので、開発部門や仕入れ部門もその声に流されがちです。

 しかし、これらの声を聞き過ぎると、結果はどうなるでしょうか。他社と同じ売れ筋の品ぞろえ、商品機能、価格ラインとなり、普通の会社になっていきます。同じカテゴリーの商品であれば、価格・品質ともトップシェアの企業にはなかなか勝てませんし、トップ企業と比較されることで「ますますトップ企業を有利にするだけ」ともいえるでしょう。

 ここで重要なことは、愚かな「真似」によって、わざわざ「不得意な領域で勝負」するような経営をしてはいけない、ということです。お客様の声は大切ですが、間違った選択をしないように、自社商品のユーザーの声と見込み顧客(競合企業の顧客)の声は明確に分けて聞く必要があります。

 そもそもの話として、市場シェアが小さく「弱い立場」にいるからこそ、「競合企業の顧客の声を聞かざるを得ない状況」に陥っていることを、まずもって自覚してください。さらに、「弱い立場」から抜け出すために、もっと大きなシェアを取れる市場(領域)を選択し、そこに経営資源を移すことを考えてください。それが今回の本題である「ニッチトップ戦略」(小さな隙間市場において圧倒的シェアを取る戦略)です。

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